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VALTURE RADIO · ビジネス

なぜアシックスは完全復活しナイキは苦戦を強いられているのか?「やらないことを決める」強みの作り方とは

2026-10-01 · 31分 · 3分で読める

長距離ランニングシューズの王者から2021年箱根駅伝での着用率0%まで転落したアシックスが、野球用具・水泳ウェア・低価格帯シューズなど不採算事業を次々と撤退し、2026年12月期の営業利益を過去最高の1,950億円まで回復させた経緯を分析する。同じ「選択と集中」を掲げながらも苦戦し、S&P100から除外されたナイキとの明暗を対比しつつ、ZOZOと千葉市が高校生と共催した「ネオ文化祭」を軸に文化祭が持つ教育的意義も掘り下げる。

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この回が答えていること

  • アシックスはなぜ箱根駅伝の着用率0%まで落ち、どうやって復活したのか?

    2017年のナイキ厚底革命に乗り遅れた結果、2018年に200億円の最終赤字・2020年に営業赤字へ転落。その後、野球用具・水泳ウェア・8,000円以下の低価格帯シューズなど不採算領域を次々廃止し、社内エースを集めた「Cプロジェクト」でメタスピードを開発。製造も海外(ベトナム・インドネシア)に98%シフトして2026年に営業利益1,950億円の過去最高を達成した。

  • ナイキはなぜS&P100から除外されるほど業績が悪化したのか?

    CEO ジョン・ドナホー就任後、フットロッカーなどの量販店を切り捨てて自社アプリ・EC・直営店中心の「D2C」戦略に転換したことで、空いた棚をHOKA・On・ニューバランス・アシックスが占領。S&P100から除外が発表され、ピーク比時価総額は80%減・失われた額は約30兆円に上る。

  • レゴの経営危機と復活はアシックスとどのような共通点があるのか?

    2000年代前半にレゴランド・アパレル・ゲーム・ライセンスへ多角化しすぎて「レゴとは何の会社か」が不明瞭になり経営危機に陥った。全事業を切り捨てコアのブロック事業のみに再集中した結果、2025年までに売上を20年前比13倍、営業利益率30%・約5,300億円を達成しており、アシックスと構造的に酷似している。

  • 「選択と集中」の考え方は個人のキャリア設計にどう応用できるのか?

    ホストの田中圭は「エリートだらけの金融業界で一極集中しても勝ち目がない」と判断し、競合が少ない軸(早朝ランニング習慣、金融×ラジオパーソナリティ)を掛け算することで唯一無二のポジションを築いた。「何をやらないか」を決める点はアシックスの戦略と同じ発想。

  • 文化祭にはどのような教育的価値があり、それは大人の組織にも通じるのか?

    勉強・スポーツでは目立たない生徒が、数字管理・SNS広報・ムードメーカーとして文化祭で輝ける点に価値がある。2026年夏にZOZO×千葉市が開催した「ネオ文化祭」では54人の高校生が企画から原価計算・装飾・広報まで一貫して担い、新宿三井ビルの49年続く企業のど自慢大会は「普段目立たない社員が主役になる」企業版文化祭として機能している。

アシックスの転落:箱根駅伝で着用率0%という衝撃

2017年、ナイキがカーボンプレート入り厚底シューズ「ヴェイパーフライ」を発売し、ランニングシューズ市場に激震が走った。アシックス社内では「厚底は一過性のブーム」と判断して対応が遅れた。かつて箱根駅伝でシェア約3割を誇っていた同社のシューズは、2021年には210人の選手のうち一人も履かなくなり着用率0%に転落。業績も急落し、2018年に最終赤字200億円、2020年には本業でも営業赤字に陥った。

「やめること」を徹底した選択と集中

復活の最大の要因は、徹底的に「やらないこと」を決めたことだ。アシックスが撤退した事業は多岐にわたる。野球用具、水泳ウェア、学校向けアパレル、そしてランニングシューズの中でも8,000円以下の低価格帯を原則廃止した。その結果、売上構成はランニングシューズの中・高価格帯だけで95%を占める構造となった。

生産体制も全面刷新し、ベトナムとインドネシアへの海外生産比率を98%まで引き上げた。さらにグループ内にあった「オニツカタイガー」(タウンユース向けラグジュアリーブランド)は、競技スポーツとファッションの両立が困難と判断し、完全に会社分割して別会社とした。

経営資源が集約されると、デザイン・品質開発・マーケティング・知財の社内エースを集めた「Cプロジェクト」を立ち上げ、「メタスピード」シリーズを生み出した。2026年8月には2026年12月期の業績予想を売上高1兆500億円・営業利益1,950億円と上方修正し過去最高を更新。箱根駅伝の着用率も29%まで回復した。

ナイキの「選択と集中」はなぜ裏目に出たのか

同じ時期、同じ「選択と集中」を掲げたナイキは正反対の結果を招いた。2026年9月21日、ナイキは米国を代表する大型企業100社を選ぶS&P100からの除外が発表された。ピーク時から時価総額は80%減、失われた市場価値は約30兆円に上る。

CEO ジョン・ドナホー就任後、ナイキはフットロッカーなどの量販店への出荷を縮小し、自社アプリ・EC・直営店に売り場を集約する「D2C(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)」戦略に舵を切った。短期的に利益率は改善したが、量販店の棚に空いた穴をHOKA、On、ニューバランス、アシックスが一気に埋め、シェアを奪われた。アシックスが「プロダクト開発」に全資源を投じたのに対し、ナイキは「販売チャンネルの最適化」にフォーカスした点が明暗を分けたとされる。

レゴも同じ道をたどった

類似事例としてレゴがある。2000年代前半、レゴはレゴランド(テーマパーク)、アパレル、ゲーム、各種ライセンス事業へと多角化し、「レゴとは何の会社か」が曖昧になって経営危機に陥った。全事業を切り捨て、コアのブロック事業「レゴブリックス」のみに再集中した結果、2025年までに売上を20年前比13倍に回復させ、営業利益率30%・営業利益約5,300億円を達成している。

「目先の利益率のために売り方を変えるのではなく、自分たちのコアバリューが何かを問い直した」点が、アシックスとレゴに共通する成功の核心だとホストは分析する。

文化祭が育てるもの——ZOZOのネオ文化祭から新宿三井ビルのど自慢まで

後半では文化祭の教育的意義へと話題が移る。2026年夏、千葉市内の13校・54人の高校生がZOZOと千葉市とともに「ネオ文化祭」を開催した。ステージや屋台の企画にとどまらず、原価計算、会場装飾、SNSを活用した広報まで高校生が一貫して担った。ZOZOは答えを与えず、「なぜそれをやるのか」「どうすれば実現できるか」という問いを通じてサポートし、54人全員に明確な役割を持たせた。

文化祭の本質的な価値は、学業やスポーツでは評価されにくい才能——数字管理、人をまとめる力、黙々と作業をこなす力——が顕在化する場を作ることにある。

この精神は大人の組織にも受け継がれている。1975年(新宿三井ビル竣工翌年)から続くビル内テナント企業のど自慢大会は、2026年で第49回を迎え、55社・88組が出演し観客7,000人が集まる。普段は目立たない社員が主役になる「企業版文化祭」であり、紙吹雪には各社のシュレッダーにかけた書類を使うというシュールな演出も名物になっている。

この回の要点

  • アシックスは野球・水泳・低価格帯シューズなど不採算事業を全廃し、高品質ランニングシューズへの一点集中で営業利益1,950億円・箱根駅伝着用率29%への完全復活を果たした。
  • ナイキはD2C戦略で量販店棚を手放した結果、HOKA・On・アシックスにシェアを奪われS&P100から除外。「何をやめるか」より「どう売るか」にフォーカスしたことが失敗の本質とされる。
  • 文化祭は学業・スポーツ以外の才能を発掘する場であり、ZOZOの「ネオ文化祭」や49年続く新宿三井ビルのど自慢大会はその精神が大人社会にも生き続けている例として紹介される。

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この記事は、配信音声の冒頭30分ぶんを機械で文字起こしし、それをもとに編集したものです。番組の公式な要約ではありません。正確な内容は本編をお聴きください。