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2026年 10月9日(金)コメンテーター:永濱利廣
2026年10月9日放送。翌日から始まるプロ野球クライマックスシリーズへの期待を語りつつ、第一生命経済研究所・永濱利廣主席エコノミストが登場。日銀の地域景気報告(桜リポート)が示す「AI需要による地方経済の底上げ」の実態と、2026年上半期に13年ぶりの高水準となった企業倒産件数の背景を掘り下げた。また、NYダウ・円相場の動向やイラン情勢が為替に与えた影響、プルデンシャル生命の不正問題にも触れた。
この回が答えていること
日銀の桜リポートで東北・四国の景気判断が引き上げられた理由は何か?
世界的なAI関連需要の拡大が両地域の生産を押し上げているためと分析。東北では半導体関連工場の受注が急増しており、永濱氏が訪問した岩手県北部では半導体製造装置の塗装を手がける中小企業が今期の売上を前年度比8倍に伸ばし、来期はさらに3倍の見込みとも述べた。
生成AI関連の景気回復は中小企業や地方にまで届いているのか?
部分的にはAIの恩恵が地方・中小にも波及しつつある。日銀短観では大企業より中堅・中小製造業の業況判断改善幅が大きく、電子部品・生産用機械・非鉄金属などが牽引。ただしAI関連の波及力は自動車ほど広くなく、ごく限られた地域・業種が中心との見方も示した。
2026年上半期の企業倒産件数はどのような状況で、人手不足倒産はどれほど深刻か?
5373件で前年同期比3.8%増、上半期としては13年ぶりの高水準(5年連続増加)。うち人手不足倒産は240件で17.0%増、比較可能な2013年度以降で過去最多。従業員4人以下の零細企業が大部分で、1人離職が即座に経営危機につながる構造が背景にある。
アメリカ中間選挙とイラン情勢は、その日の円相場にどんな影響を与えたか?
イランへの米軍事作戦懸念でWTI原油が1.5%超上昇し、米長期金利も上昇してドル買いが先行、円は一時158円36銭まで下落。その後トランプ大統領が「中間選挙前にイランを攻撃しない」と発言したことで原油・ドルが伸び悩み、円は157円88銭付近まで値を戻した。
日銀の業況判断と家計の景況感にはなぜ大きな乖離があるのか?
日銀短観の大企業製造業業況判断DIはプラス20台に達する一方、日銀が実施する家計向け「生活意識に関するアンケート調査」のDIはマイナス50程度。食料品など購入頻度の高い品目の値上がりが家計の体感に強く影響し、企業側の数字と大きく乖離している。
クライマックスシリーズ前夜と野球談義
10月8日でセ・パ両リーグの全日程が終了し、翌9日からクライマックスシリーズ(CS)のファーストステージが開幕する。永濱氏はジャイアンツファンで、翌日の東京ドーム初戦を観戦予定と明かした。番組では、以前東京ドームで巨人対中日戦を観戦した際に、番組コメンテーターの片岡剛士氏(中日ファン)と偶然遭遇したエピソードも紹介。その試合が14対1で中日が大敗した一戦で、片岡氏は6〜7回頃に退席し帰宅後に大差がついたことを知ったという笑い話が語られた。工藤公康氏が巨人で200勝を達成した節目にも触れ、CS・ドラフトへの期待が語られた。阪神・佐藤輝明選手の三冠達成(村上宗隆選手以来4年ぶり、阪神ではランディ・バース以来)もスポーツニュースとして紹介された。CS第1戦(巨人対DeNA、東京ドーム、午後2時デーゲーム)は日本放送でも中継予定。
為替・株式市場:イラン情勢が乱高下を演出
外為どっとコム総研の中村聡氏による市場概況。前日のニューヨーク株式市場はダウ平均が前日比51.77ドル高の51,231.64ドルで終了。一方、ハイテク・メガテック中心のナスダック総合指数は345.35ポイント下落し27,193.34だった。円相場は前日より約20銭円高・ドル安の1ドル157円88銭付近で取引終了。
この日の相場を動かしたのはイラン情勢だ。「米国が中間選挙(翌月3日)前にイランに対する大規模な軍事作戦を実施する可能性がある」との報道が流れ、WTI原油先物が1.5%超上昇。米長期金利も上昇してドル買いが加速し、円は一時158円36銭前後まで下落した。しかしニューヨーク時間午後にトランプ大統領が「中間選挙前にイランを攻撃することはない」と発言すると原油が上げ幅を縮小し、ドル売り・円買いが入って落ち着きを取り戻した。現在の市場のメインテーマはフランスの財政・政治情勢とイラン情勢。フランスでは翌年の総選挙に向けた財政懸念が高まり国内でも大規模なデモが発生しており、ユーロ圏への波及リスクが警戒されているという。
永濱氏はアメリカ中間選挙について、「与党が負けるのがパターン」としつつ、「ハリス候補が勝つシナリオが実は最悪」との見方も示した。1人5,000ドルの給付公約などが実現すれば、ただでさえ逼迫している米財政を悪化させ、インフレ再燃リスクがあるためだという。
日銀桜リポート:AI需要が地方・中小に波及しつつある
日本銀行が10月8日に発表した地域経済報告(桜リポート)では、全国9地域のうち東北と四国の景気総括判断を引き上げた。世界的なAI関連需要の拡大が両地域の生産を押し上げているとの分析だ。
永濱氏は先月、岩手県北部を視察した際のエピソードを紹介した。半導体製造装置の塗装を手がける地元中小企業の社長から、「今期の売上は前年度比8倍で、来期はそこからさらに3倍増える見込み」という話を聞いたという。また、直近の日銀短観では大企業製造業の業況判断改善が注目されたが、中身を見ると中堅・中小製造業の改善幅が大企業を上回っており、電子部品・生産用機械・非鉄金属などAI・半導体関連業種が牽引しているとした。日経平均株価についても「225銘柄中わずか4銘柄程度の変動で全体の3分の2が説明できてしまう」構造であり、恩恵が全体に万遍なく広がっているわけではないと指摘した。高木政権が掲げる産業クラスター構想による地方経済活性化の方向性は評価しつつも、波及力は自動車産業ほど広くはないと述べた。
人手不足倒産が過去最多:ただし失業率は上昇していない
東京商工リサーチが発表した2026年度上半期の企業倒産件数は5,373件(前年同期比3.8%増)で、上半期としては13年ぶりの高水準、5年連続の増加。このうち人手不足による倒産は240件(17.0%増)で、比較可能な2013年度以降で過去最多となった。
永濱氏は倒産増加の要因を二層で説明した。一つ目はコロナ禍で導入されたゼロゼロ融資(無利子無担保融資)の返済が本格化し、本来もっと早く倒産していたはずの企業が延命していたものが顕在化したこと。二つ目が近年目立ち始めた人手不足倒産だ。中小企業白書の分析によると、倒産した企業の多くは従業員4人以下の零細企業であり、1人が抜けるだけで事業継続が困難になるケースが多い。一方、倒産が増えているにもかかわらず失業率は上昇していない点を指摘し、「倒産した企業の従業員が別の職場を見つけられているため、マクロ的にはそこまで深刻ではない」と現状を評価した。ただし今後失業率が上昇に転じれば局面が変わり、日銀の利上げ判断にも影響を与えると警戒を示した。
経済財政諮問会議と「脱リフレ」論争
リスナーからのメールを受けて、日経新聞土曜日版に掲載された片山財務大臣のインタビュー記事が話題に上った。記事では、経済財政諮問会議の民間議員である永濱氏と若田部昌澄氏の両名が「今はリフレ政策を取る時期ではない」という点で一致したと報じられていた。永濱氏は「諮問会議ではリフレ的な政策を議論したことは一貫してない」と述べ、日銀の金融政策については日銀の独立性を尊重する立場から諮問会議では意見を言わないと説明。諮問会議の役割はあくまで経済全体の底上げ策や予算編成を含む財政運営の議論であるとした。
この回の要点
- 日銀桜リポートで東北・四国の景気判断を引き上げ。AI需要が地方の中小製造業に波及し、半導体関連の塗装会社が売上前年比8倍という事例も登場した。
- 2026年上半期の企業倒産5373件は13年ぶりの高水準。人手不足倒産が過去最多の240件となったが、失業率は上昇しておらず日銀利上げへの影響が今後の焦点。
- 企業の業況DIがプラス20台の一方、家計の生活意識DIはマイナス50程度と大きく乖離。食料品値上がりが体感景気を押し下げている。
この記事は、配信音声の冒頭30分ぶんを機械で文字起こしし、それをもとに編集したものです。番組の公式な要約ではありません。正確な内容は本編をお聴きください。