# 「マグロは、おふくろ。」すしざんまい木村社長が語る寿司と人生(#639) - Show: Hapa英会話 Podcast - Published: 2026-10-14 - Canonical: https://podc.club/episode/814040014_492b3084af70.html - Audio: https://sphinx.acast.com/p/open/s/65a19d6398c1070016f3e0f8/e/6abf0ce6461e70fab382571c/media.mp3 - Source: この記事は、配信音声の冒頭30分ぶんを機械で文字起こしし、それをもとに編集したものです。番組の公式な要約ではありません。 すしざんまいの木村社長がロサンゼルス・コリアタウンの海外1号店を舞台に、50数年前の自身のLA体験からカリフォルニアロール誕生の経緯、マグロを「おふくろ」と呼ぶ理由、そして「お客様第一」の経営哲学まで語った。寿司とともに歩いてきた半世紀の話が詰まった一回。 ## この回が答えていること ### すしざんまいが海外1号店としてロサンゼルス・コリアタウンを選んだ理由は何か? 太平洋を挟んで日本から最も近く飛行機1本で行ける距離感が決め手。コリアタウンは激戦区だが、50数年来の韓国ビジネスの経験から「韓国の人は鮮度を見分ける力が日本人よりすごい」と感じており、ここで認められれば本物だという確信のもと選んだ。 ### カリフォルニアロールはどのような経緯で生まれたのか? 50数年前のLAで海苔が入手できず困った際、廃棄されていたサーモンの皮をバーナーで炙る「タイガーアイ」を考案したのが原点。その後テワナ近くで出会ったアボカドを脂の少ないキハダマグロ・マヨネーズと合わせ、裏巻きにしたのがカリフォルニアロールの始まりだった。 ### アメリカ人と日本人ではお寿司の好みや食べ方にどんな違いがあるか? アメリカ人は1年の営業でマグロの繊細な味の違いを理解する客が出てきており、それを木村社長は嬉しい発見と語る。食べる雰囲気は日本人より明るくにぎやかで、むしろ日本人にももっと明るく楽しく食べてほしいとも感じている。 ### 木村社長にとってマグロはどんな存在か? マグロは「おふくろ(お母さん)」のような存在。大切にしなければならない一方、人を大切にする心・分かち合いの喜び・食べる喜びを教えてくれる。何があっても落ち着ける母親と同じ感覚だという。 ### すしざんまいのアメリカでの経営方針・ブランド方向性はどうなっているか? 「ブランドにこだわらず、お客様に愛されるお店を作る」が一貫した方針。全員一致団結でお客様第一を実践することが経営哲学の核心であり、お客様が喜ぶことが自分たちの生きる道だと語る。 ## 本文 ## ロサンゼルス・コリアタウンを1号店に選んだ理由 海外進出の最初の出店地にロサンゼルスを選んだのは、「太平洋を挟んで日本に一番近い」という距離感が大きな理由だ。飛行機1本で行き来できることが現場管理のうえで重要だという。コリアタウンという立地については、50数年来続く韓国とのビジネス経験から、「韓国の人は鮮度の良いものを見分ける力が日本人よりもすごい」と確信しており、その激戦区で認められれば本物だという判断があった。開業から約1年、想像との大きなギャップは感じていないと語るが、許認可など店舗運営よりもビジネスを立ち上げるプロセスの複雑さは実感したという。 ## カリフォルニアロール誕生の裏話——タイガーアイからアボカドへ カリフォルニアロールの起源に、木村社長自身が深く関わっていた。50数年前、LAのダウンタウンの寿司屋に先輩に連れて行ってもらったところ、「海苔がないからのり巻きはできない」と断られた。当時は日本からの直行便も少なくアンカレッジ経由が主流で、海苔は友人が日本から持参するほど貴重だったからだ。 困っていた木村社長が目にしたのは、捨てられていたサーモンの皮だった。「もったいない」と思い、バーナーで炙って皮をカリッカリに焼き、鉄火巻きの代わりに使うと「カリッカリでサーモンの油が美味しい」。虎の目に似た断面から「タイガーアイ」と名付けた。 その後、先輩とカリフォルニア南部へ釣りに行くと、獲れるのは色が白く油の少ないキハダマグロだった。テワナ近くの市場で子どもの頭ほど大きなアボカドを発見し、半分に割ってキハダマグロとマヨネーズで食べてみると「もう美味しい」。海苔が手に入らないため酢飯を外側に巻く裏巻きにし、アボカドを中と外に使い、カリフォルニアロールが完成した。「お寿司にアボカドを入れる発想は普通は出てこない。でも脂のないキハダマグロだからアボカドの油と合う」と木村社長は説明する。 ## アメリカ人の寿司観と日本のおもてなし 「まだアメリカの方は日本の食べ方の本当の美味しいところをご存知ない」としつつも、1年の営業を通じてマグロの繊細な味の違いを理解してくれる客が出てきたことを「嬉しかった」と語る。スパイシーツナロールやレインボーロールなどアメリカ独自の巻き寿司については「裏巻きとして一つのカテゴリーにあってもいい。そこから食文化は発達してくる」と肯定的に評価する。 食事の雰囲気については「アメリカ人の方が日本人よりも明るく食べる。日本人にももっと明るく楽しく食べてほしい」と感じている。おもてなしはまだ日本式を変えていないが、笑顔・元気の良さ・リズミカルな動きはアメリカから逆に学べる部分もあると話す。 ## マグロは「おふくろ」 「木村社長にとってマグロはどんな存在ですか」という問いに、即座に「おふくろかな。お母さん、そんな感じ」と答えた。大切にしなければならない存在であり、同時に面倒を見てくれる存在でもある。「マグロによって人を大切にする心、分かち合って食べること、食べる喜び、そういういろんなものを教えていただいた」。母親が何があっても一番落ち着ける存在であるように、マグロも全く同じ感覚だという。 ## 経営哲学とアメリカでの展望 経営哲学を問われた木村社長は「あまりそういうものはない」としつつも、「お客様に喜んでいただけないところに我々の生きる道はない。全員が一致団結してお客様第一で、そのために我々がある」と言い切った。お客様がたくさん来てくれれば自分たちも笑顔になれる——笑顔はお客様からいただくものだという考え方だ。アメリカでのブランド方針についても「ブランドにこだわらず、お客様に愛されるお店を作りたい」とシンプルに語った。 ## この回の要点 - カリフォルニアロールは50数年前のLAで木村社長が海苔不足を逆手に取り、キハダマグロ・アボカド・裏巻きで生み出した発明だった。 - アメリカ人もマグロの繊細な味を理解し始めており、木村社長は「日本の食べ方が通用する」という手応えを1年で感じ取っている。 - 「ブランドより愛される店」「お客様第一」——すしざんまいの海外展開も国内と変わらぬ一点突破の経営哲学が軸になっている。