# 【郷原信郎(青木理)】2026年10月22日 「特捜検察という名の権力ヤクザ 東京五輪談合事件・人質司法との死闘」(稲葉利彦/16歳女性衰弱死の母 国と兵庫県を提訴/パワハラ辞職の山中前横浜市長) - Show: 大竹メインディッシュ - 大竹まことゴールデンラジオ! - Published: 2026-10-22 - Canonical: https://podc.club/episode/254179829_2d53125e1957.html - Audio: https://traffic.megaphone.fm/NCB5651341492.mp3 - Source: この記事は、配信音声の冒頭30分ぶんを機械で文字起こしし、それをもとに編集したものです。番組の公式な要約ではありません。 元検事・弁護士の郷原信郎が著書『特捜検察という名の権力ヤクザ』を携えてスタジオへ。障害者施設で他入居者を手で制止しただけで逮捕・勾留され18日目に摂食障害で死亡した16歳女性の事案、東京五輪テスト大会の談合冤罪でセレスポ専務が196日間拘束された事件、そして山中前横浜市長のパワハラ辞職をめぐる政治責任を、「人質司法」と令状審査の機能不全という切り口で徹底的に論じた。 ## この回が答えていること ### 16歳女性が勾留18日で死亡した兵庫県の事案は何が問題だったのか? 障害者施設で他の利用者が噛みつくのを手で制止しただけで逮捕され、否認を続けた16歳の女性が18日間の勾留中に摂食障害を発症して死亡した。容疑事実が軽微すぎて勾留する必要性がなく、裁判所も令状をろくに審査せず認めた点が問題の核心と郷原は指摘する。 ### 裁判所は逮捕状・勾留令状を本当に審査しているのか? 郷原は「裁判所は自動販売機」という検察OBの言葉を引用しながら、実質的に審査が機能していないと断言する。五輪汚職事件では贈賄に当たらない事実で勾留されていたことが判明しており、談合事件でも下級裁判官が3回認めた補釈が準抗告でことごとく覆された。 ### 東京五輪テスト大会の談合事件でセレスポはどんな扱いを受け、実態はどうだったのか? セレスポには「晴天の霹靂」の強制捜査が入ったが、実態は組織委員会が入札への参加を求め各社が得意競技で応じただけで、業者間の利益配分交渉はゼロだった。特捜部はこれを談合と認定し、専務は補釈請求を5回却下されて196日間拘束された。一審・控訴審とも有罪で現在上告中。 ### 否認すると勾留が長引く「人質司法」の構造はなぜ是正されないのか? 否認を続けると勾留が延長され続ける構造のため、弁護士でさえ「認めた方が早く出られる」と助言するケースがある。発注者側の組織委員会次長が弁護士の助言で認めて即釈放され事件の形が保たれた一方、認めなかった側は196日拘束されるという構図がその歪みを象徴している。 ### 山中前横浜市長のパワハラ辞職をめぐり、郷原が責任を問うのはどの政党か? 2021年選挙で山中氏を担いだ立憲民主党と、昨年の市長選でパワハラ問題を知りながら支持した自民党横浜市連を郷原は名指しする。特に自民党は今回の選挙で勝ったような顔をしているが、昨年の支持で当選させた責任があり謝罪・反省すべきだと強調した。 ## 本文 ## 16歳女性の勾留死が示す「令状審査ゼロ」の実態 神戸市の障害者施設で、他の入居者が噛みつこうとした際に手を添えて止めたとして逮捕・勾留されていた16歳の女性が、18日間の拘束中に摂食障害を発症して死亡した。郷原は「自傷行為を防ぐために顎を抑えた程度の話で、なぜ逮捕して勾留するのか。完全に常軌を逸している」と切り捨てる。 問題は二層ある。まず容疑事実が軽微すぎて勾留の必要性がない。次に、否認を続けた被疑者への勾留延長という「人質司法」の構造だ。「法律を熟知していれば『やっていないからやっていない』と言い続けるだけだが、16歳の女の子にはついていけなかったのだろう」と郷原は述べた。 裁判所が勾留令状を認めた点も見逃せない。郷原は「逮捕状・勾留令状・家宅捜索令状、いずれも検察が必要だと言えば認める自動販売機」という検察OBの言葉を引用しながら、実質的な審査が機能していないと断言した。東京五輪汚職事件では、被疑者を東京拘置所に閉じ込めた根拠となった「贈賄の犯罪事実」が、後に贈賄に当たらない事実だったことが判明している。それさえ裁判官は見抜けなかった。 ## 東京五輪テスト大会談合事件――犯罪のない「犯罪捜査」 2022年11月、東京地検特捜部と公正取引委員会は、東京五輪・パラリンピックのテスト大会をめぐる入札談合疑惑で電通などと並び総合イベント会社セレスポへの強制捜査を実施した。 しかし郷原によれば、セレスポ社員にとって「晴天の霹靂」だった。コロナ禍・無観客という困難の中で五輪大会をやり遂げた安堵の最中に、突然「犯罪者」として家宅捜索を受けたからだ。 実態はこうだ。テスト大会には多種多様な競技が含まれ、それぞれ実績ある業者が担わなければ運営が成り立たない。組織委員会の担当者が「この競技の入札に参加してくれないか」と声をかけ、各社が得意競技で応じた。業者間で利益を分配するような協議は一切なかった。それを特捜部は「談合」と認定した。 捜査は当初、公共工事を念頭に置いた官製談合防止法違反を想定していたが、組織委員会が民間法人と判明し適用できなくなった。「その時点で諦めなければならなかったのに、止まらなかった」と郷原は言う。結局、独占禁止法(不当な取引制限)違反に切り替えて立件した。 「何が犯罪なのか、何が違法なのか、セレスポ社員には最後まで分からなかった」。認めようがないから否認し続けたセレスポの専務・蒲田氏は補釈請求を5回却下され、196日間拘束された。下級の裁判官が補釈を認めた3回も、準抗告でいずれも覆された。 組織委員会の発注者側次長は弁護士の助言で容疑を認め、即座に釈放された。その「自白」で事件の形が保たれた格好だ。一審は「発注者の要請に応じて入札参加し、他社も同様と予想していた、それが談合」という理屈で有罪、控訴審も棄却。現在上告中で、郷原は「独禁法の理屈をきちんと理解できる裁判所は最高裁しかない」と語った。 ## 人質司法が止まらない理由――「ヤメ検」弁護士の役割 郷原は「検察OB(ヤメ検)の弁護士は、検察に知り合いが多いため被疑者に『認めれば手心を加えてやる』と説得しがちだ」と指摘する。否認を続けると勾留が1年・2年と続き、仕事も家族も失う。その現実を前に「認めた方が被疑者のため」というアドバイスが横行し、結果として検察の暴走に歯止めがかからなくなる。 郷原は自らそうした慣行と一線を画し、セレスポのケースでも徹底抗戦を選んだ。「自白とは犯罪事実がはっきりしている場合のものだ。この事件のように何が犯罪なのかも分からない状況で、特捜部に屈服させることだけを目標に200日近くも身柄を拘束するのが権力ヤクザの世界だ」と締めくくった。 ## 山中前横浜市長――「担いだ側の責任」を問う 郷原は2021年の横浜市長選の時点から、山中竹春氏が横浜市立大の教授・副学長時代に深刻なパワハラを行っていたとの情報を関係者から得て落選運動を展開してきた。にもかかわらず当選し、昨年の市長選でも再選された。 今回の辞職について「当然の結果」としながらも、郷原が責任を問うのは政治勢力だ。2021年選挙でIR問題やコロナ専門家という触れ込みで擁立した立憲民主党、そして昨年の選挙でパワハラ問題が庁内で相当問題になっていたにもかかわらず他候補を立てず支持した自民党横浜市連。「今回の選挙で自分たちが勝ったような顔をしているが大間違いだ。昨年の責任はどうなったのか。15億円の税金を使って再選挙になったことを謝罪・反省しろ」と郷原は強い言葉で批判した。 後任の原沢氏については、航空機整備士から弁護士という異色の経歴と当選会見での印象を評価しつつ、政治経験のなさと「利権構造の中で操られやすくなるのではないか」という懸念を示した。 ## この回の要点 - 16歳女性の勾留死・東京五輪談合事件のいずれも、裁判所が令状を事実上チェックせず検察の言いなりになる「自動販売機」状態が被害を拡大させた - セレスポの談合事件は業者間の利益配分協議が皆無で、組織委員会が入札参加を求めただけ。「何が犯罪か分からないまま196日拘束」という人質司法の典型例となった - 山中前横浜市長のパワハラ問題は2021年選挙前から知られており、郷原は擁立した立憲・支持した自民の双方に謝罪と反省を求めた