「仲代達矢さんと親友になった!?/南部広美さん最強説」ゲスト:春日太一 (時代劇・映画史研究家)【2026.10.17 OA】
時代劇・映画史研究家の春日太一が登場し、43冊目の著書『仲代達矢 語る』(みしま社)新装増補版の刊行を機に、大俳優・仲代達矢から「親友」と呼ばれるまでの取材秘話を明かす。大谷賞受賞の副賞JALビジネスクラスでフィラデルフィアへ「ロッキー聖地巡礼」を敢行した話や、プロ野球OBのYouTubeを巡る辛口考察も展開される。
この回が答えていること
仲代達矢はなぜ春日太一を「親友」と呼ぶようになったのか?
春日が自分に擦り寄らず距離感を保ちながら淡々と話を引き出すスタイルが、同様に慣れ慣れしさを好まない仲代の気質と合致したためと春日本人は分析する。仲代はトークイベントの冒頭で客前に「親友の春日さん」と紹介するようになった。
大谷賞の副賞を使って春日太一が向かった先はどこで、何をしたのか?
大谷賞の副賞「JALビジネスクラスで世界中どこでも」の権利を使い、ニューヨークを経由してフィラデルフィアへ飛び、映画『ロッキー』のロケ地を日本人ガイドと回る「ロッキーウルトラクイズ」を一人で敢行した。以降も北米各地への旅を続けているという。
『鬼の筆』で賞を狙いにいくために春日が仕掛けた戦略とは何か?
タイトル付けから装丁・文体まで「重厚感・高級感」を一貫して設計した。普段の読みやすい軽い文体を保ちつつ、表現を文学的・高級感のある方向へシフトし、賞の審査員に響くパッケージを意図的に組み立てた。
春日太一が「エース」と断言するプロ野球OBのYouTubeチャンネルはどれで、何が面白いのか?
広島カープの1980年代の1番打者・高橋慶彦のチャンネル。高橋が寮でひどい目に合わせた後輩たちをゲストに呼び続け謝罪するコーナーを約5年継続しており、正田・山崎隆三・長富ら80年代広島好きには堪らないメンバーが登場、最後に高橋が無理やりポジティブに締めようとする構図が笑える。
南部広美を「最強」と呼ぶ理由は何か?
収録中にマイクに乗らないリアクション──目を半開きにして声にならない「うーん」と大きくうなずく表情──が話し手を強く後押しし、春日自身も毎回インタビューで救われてきたと語る。
大谷賞の副賞でフィラデルフィアへ「ロッキーウルトラクイズ」
2024年、春日太一は『鬼の筆——戦後最大の脚本家・橋本忍の栄光と挫折』で第55回大谷賞ノンフィクション賞を受賞した。副賞はJALのビジネスクラスで世界中どこでも行ける権利。「一番遠いから」という理由でニューヨークを経由し、フィラデルフィアへ飛んで映画『ロッキー』のロケ地を一人で巡る「ロッキーウルトラクイズ」を敢行。日本人ガイドとマッチングできるサービスを発見したことで「これを使えば世界中どこでも行ける」と味をしめ、円安の中でも貯金を削りながら北米各地を訪れているという。
「しなたけし最強説」と政界・野球・プロレスの「人事」論
鹿島との長年のトークライブでは、政局・プロレス・プロ野球という三つのテーマが「人事」という軸で重なると春日は指摘する。春日は3〜4年前から民主党系の政治家・しなたけしに着目し、「ボルグハン最強説」になぞらえて注目してきた。ボルグハンとはリングスネットワークで頭角を現したロシアのコマンドサンボ使いで、見た目は地味なオタク風なのに実戦では圧倒的な強さを持つ人物。しなたけしも外見の地味さに反して選挙では連戦連勝で、去年の代表選で一気に注目を集めた。「春日さんが言ってた通りだった」と鹿島は振り返る。
プロ野球OBのYouTube──エモヤンの残念と高橋慶彦の謝罪コーナー
プロ野球OBのYouTube黎明期から鹿島と「エモヤン(江本孟紀)のYouTubeがひどい」と言い続けてきた二人。野球・芸能・社会・政界のすべてを知るはずのエモヤンに期待したが、実際の配信はそば食べ歩き・釣り・とんかつ屋ばかりだったと苦笑する。一方でいまのエースと断言するのが広島カープ80年代の1番打者・高橋慶彦のチャンネル。高橋が寮でひどい扱いをした後輩たちをゲストに呼んで謝罪するコーナーを約5年継続している。正田・山崎隆三・長富といった80年代広島好きには堪らない面々に続き、最近では一軍にほぼ出ていなかった坂木原・永田らまで登場。最後に高橋が「あの頃楽しかったよな」と無理やりポジティブに締めようとするパターンが笑いを誘うと春日は熱く語った。
仲代達矢から「親友」と呼ばれるまで──新装版『仲代達矢 語る』
春日の43冊目の著書は、みしま社刊の『仲代達矢 語る』新装増補版。新書・文庫・単行本と版を重ねるたびに取材を振り返って聞き直し、反省を盛り込んでブラッシュアップしてきた。仲代が春日を「親友」と呼ぶようになった理由として春日は「自分に擦り寄ってくる人が苦手な仲代さんに対して、自分も距離感を保ち続けた。そのよそよそしさが心地よかったのではないか」と分析する。33歳で最初のインタビューに臨んだ際、京都の撮影所時代の話からぶつけた準備が功を奏したという。本書が描く仲代像は、三船敏郎や勝新太郎がブイブイ稼いでいた時代に高額契約をすべて断り、自分が面白いと思うものだけを選び続けた姿勢だ。舞台では無名の通行人役も引き受け、90歳を超えてもカーテンコール後すぐ次の本番への不安と反省に向かっていたという。
南部広美最強説と「感想は言葉にしなくていい」
春日が長年唱える「南部広美最強説」の根拠は、収録中にマイクに乗らないまま示す濃密なリアクションだ。目を半開きにして声にならない「うーん」と大きくうなずく表情が話し手を後押しし、春日自身も毎回救われてきたと明かした。鹿島は4月からその南部スタイルを意識して番組に臨んでいるという。またリスナーから映画『ヒンドラジャブの声』を見た後「気持ちも頭の中も整理できず感想を言葉にできない」という投稿が届き、春日は「言葉にできないことが一番いい感想」と応じた。SNS全盛期、映画を見るたびに「何か発信しなければ」というプレッシャーで鑑賞自体がイップスになった経験を踏まえ、「見ながら感想を考えるのが最悪。もやもやを貯める時間も大事で、水平方向にだらだら喋るだけでもいい」と語った。
この回の要点
- 春日太一は大谷賞の副賞JALビジネスクラスを使いフィラデルフィアへロッキー聖地巡礼を敢行、以降も北米各地を巡っている。
- 仲代達矢が春日を「親友」と呼ぶのは、春日の距離感を保った淡々とした取材スタイルが仲代の気質にフィットしたから。
- 映画の感想は言葉にできないことが最高の反応であり、SNSで無理に発信する必要はないと春日は語る。
この記事は、配信音声の冒頭30分ぶんを機械で文字起こしし、それをもとに編集したものです。番組の公式な要約ではありません。正確な内容は本編をお聴きください。