#37 「クリストファー・ノーランめっちゃやることあっただろうな」
朝井リョウがクリストファー・ノーラン監督の新作映画オデュッセイアを109シネマズプレミアム新宿で鑑賞した一部始終を語る。観賞直前に乳酸菌が全力稼働してトイレ危機が発生、ギリギリで切り抜けた顛末と、映画のギリシャ神話をトイレにまつわるローマ神話に置き換えた「自分版オデュッセイア」が笑いを呼ぶ。後半では4〜5年で約6万枚を描き続けたアニメ映画「我々は宇宙人」の監督の制作姿勢にも触れ、大きなものを作る人への敬意を語る回。
この回が答えていること
109シネマズプレミアム新宿のプレミアムシートにはポップコーン以外にどんなサービスがあったか?
ポップコーン・飲み物の食べ放題に加え、しみチョココーンに似た別のお菓子が7個ずつ無料でもらえる。7個食べ切ると次の7個がもらえる仕組みで、上映前に何度もカウンターへ並んだという。上映1時間前から使えるラウンジも完備で仕事もできる。
オデュッセイア観賞当日、映画館に向かう途中で何が起きたか?
前に食べたヨーグルトの乳酸菌が効きすぎて腹痛が発生。映画館の一般トイレは土日の混雑で大行列のため諦め、入場スタッフにQRコードのバラバラ入場が可能か確認してスクリーン内のトイレに先入りし、何食わぬ顔で座席に合流してぎりぎり間に合った。
エンドロールを見てクリストファー・ノーランの制作についてどう感じたか?
エンドロールにイタリア・アイスランド・モロッコなど世界各地の撮影ユニットが次々登場し「確認事項が一億個くらいあったはず」と圧倒された。十数人の飲み会の幹事も難しい自分と引き合いに出しながら、世界規模でビジョンを共有する凄まじさを語った。
オデュッセイアのギリシャ神話の構造を自分のトイレ問題に当てはめるとどうなったか?
ローマ神話を調べると、腹部の混乱をつかさどるクレピトス(妨害役)、下水道の女神クロアキナ(助ける役)、排泄物を農業に活かす神ステルクティウス(締めの役)の3柱が見つかり、「全く違いますよ」と言いながら映画とほぼ同じ旅路の構造が偶然成立したと笑った。
アニメ映画「我々は宇宙人」の監督はどのような制作姿勢で作品を作ったか?
東京藝術大学出身の中川監督が4〜5年かけて約6万枚の絵を描き上げた。最後の半年間は左手でケバブを食べながら右手で描き続けたという。その圧倒的な執着力を「変態的な天才」と表現し、長期間投資し続けたプロデューサーへの敬意も述べた。
109シネマズプレミアム新宿という「お腹問題対策」
朝井リョウは慢性的な「お腹問題」を抱えており、3時間超の長尺映画を通常の座席で見ることが一種の旅路だと語る。そこで活用するようになったのが新宿の109シネマズプレミアム新宿だ。チケットは4500〜6000円と高額だが、ゆったりとしたシートで自由に姿勢を変えられ、ポップコーン・飲み物の食べ放題に加え、しみチョココーンに似た別のお菓子が7個ずつ無料でもらえるサービスに初めて利用した際は思わず感嘆したという。食べ切ると次の7個がもらえる仕組みで、上映前に何度もカウンターへ並んだと笑顔で話した。ラウンジも1時間前から使えて仕事もできる。
ノーランの新作オデュッセイアは友人2人と観に行くことにし、3日前発売のラグジュアリーシートを0時0分に狙ったものの、すでに完売。会員だとより早く購入できる仕組みがあることを知らず「甘かった」と反省した。
観賞直前の「大粗波」危機
当日、朝に食べたヨーグルトの乳酸菌が「全部生きたまま届いて」しまい、映画館へ向かう途中から腹痛が始まった。映画館の一般トイレに駆け込もうとしたが土日の混雑で大行列。タイムリミットが迫る中、入場ゲートのスタッフにQRコードのバラバラ入場が可能かを素早く確認し、スクリーン内のトイレへ先入りした。「何食わぬ顔で」座席に合流した後、友人2人には「共有されていればバラバラでも入れると確認できたので先に入りました」と連絡。3時間の上映中も「まだ届いている」という緊張感を抱えながら見続けたが、映画の力が不安を忘れさせてくれたという。エンドロール後に「無事帰還、本当に長い旅路だった」と胸をなでおろした。
「確認事項が一億個」──ノーランの制作規模への驚き
映画の感想で真っ先に語ったのが制作規模の凄まじさだ。エンドロールには「イタリアユニット」「アイスランドユニット」「モロッコユニット」など世界各地の撮影チームが次々と登場し、倒れそうになったと表現した。「一個撮りたいとなったら確認事項がとんでもなかったはず」と率直な驚きを述べ、メイキング本では毎回山に登っては降りる撮影を繰り返すなど人力にこだわった制作姿勢も紹介されていたと触れた。十数人の飲み会の幹事すら難しい自分と引き合いに出しながら、「世界中のユニットとビジョンを共有できるブレーンが何人いるんだろう」という問いを投げかけた。
自分版オデュッセイア──ローマのトイレ神話
映画では多くのギリシャの神々がオデュッセウスの旅に干渉するが、自分の映画館旅路に当てはめたらどうなるかとローマ神話を調べたところ、驚くほど当てはまる神々が見つかった。
腹部の混乱と放屁をつかさどる**クレピトス**は旅路を妨害するポセイドン相当の存在。ただしこの神は、ローマ人が「あらゆるくだらないものにも神を見出している」と揶揄するために後代が創作したという説が濃厚とのこと。ローマの巨大下水道を守る女神**クロアキナ**は、トイレへと道を開く助けの神として映画館でのトイレ誘導に相当。排泄物を農業に活かす肥料の神**ステルクティウス**は、農耕社会では重要な神とされており旅路を締めくくる存在だ。「全く違いますよ」と繰り返しながらも映画と同じ旅路の構造が偶然成立したことに本人が一番驚いていた。
「左手でケバブ、右手で絵」──「我々は宇宙人」と変態的な天才
タイトルコール後、話題はアニメ映画「我々は宇宙人」へ移った。監督の友人から強くすすめられ観に行ったところ大きな衝撃を受け、偶然にも舞台挨拶で中川監督が登場した。東京藝術大学出身の20代の監督が4〜5年かけて約6万枚の絵を描き上げた作品で、最後の半年間は左手でケバブを食べながら右手で描き続ける生活を送ったという。その圧倒的な執着力を「変態的な天才」と形容し、長期間投資し続けたプロデューサーへの敬意も述べた。映画の予習として古代ギリシャ研究家が月桂冠と古代衣装(キトン)を身にまとい楽しそうに語る動画を見ていたことも話題になり、「お金や地位のためには選びづらい道をあれほど楽しそうに歩む姿から、本当に好きじゃないとできない仕事の輝きが伝わってくる」と語った。
この回の要点
- 朝井リョウの「お腹問題」は映画鑑賞における戦略レベルの問題で、プレミアムシートの活用からトイレ突入タイミングの交渉まで徹底した備えを要する。
- クリストファー・ノーランの世界各地ユニットを束ねる制作規模への純粋な驚きがこの回のタイトルの由来であり、大規模なものづくりへの尊敬が一貫したテーマとなっている。
- 「変態的な天才」(ノーラン・アニメ監督・古代ギリシャ研究家)への敬意が後半の軸で、好奇心と執着が革命的な何かを生むという話が繰り返し登場する。
この記事は、配信音声の冒頭30分ぶんを機械で文字起こしし、それをもとに編集したものです。番組の公式な要約ではありません。正確な内容は本編をお聴きください。