# 令和のヒットはなぜ「ドパガキ」を量産したのか? GO三浦が”普段はできない話”に答えまくる - Show: The Solutions - Published: 2026-10-02 - Canonical: https://podc.club/episode/1868937583_82be92a6a621.html - Audio: https://anchor.fm/s/10c261094/podcast/play/126661134/https%3A%2F%2Fd3ctxlq1ktw2nl.cloudfront.net%2Fstaging%2F2026-9-2%2F433130242-44100-2-581a6d72fb564.mp3 - Source: この記事は、配信音声の冒頭30分ぶんを機械で文字起こしし、それをもとに編集したものです。番組の公式な要約ではありません。 広告会社GOのクリエイティブディレクター・三浦崇宏が「The Solutions」1周年記念公開収録に登場。ドーパミン刺激型コンテンツ(ドパ書き)が令和に量産される構造的理由、産経新聞・深井龍之介・司馬遼太郎を例に解くメディアリテラシーの危機、そしてAI時代の人間の介在価値は「観察力を活かしたヒアリング」にあるという持論を、来場者の質問に答える形で展開した。 ## この回が答えていること ### なぜ令和のコンテンツは残酷・露悪的な「ドパ書き」を量産するのか? 短期的な興奮をマネタイズできるテクノロジーが整備されたから。投げ銭やショート動画広告など細切れ課金の仕組みが整い、消費期限の短いコンテンツでも十分に収益化できるようになった。露悪的コンテンツへの需要は昔も変わらないが、今はそれだけでビジネスが成立する構造になっている。 ### フィルターバブル時代に、メディアや情報発信者をどう受け取るべきか? メディアも発信者も「真実」ではなく自分の解釈・立場・利害関係に基づく「事実」を発信している。三宅香帆の本も深井龍之介のPodcastも「その人が編集した視点」であり、歴史や文学の真実そのものではない。情報の出自と立場を常に意識することが不可欠だ。 ### AI活用が前提のクライアントワークで、人間ならではの介在価値は何か? 人間の価値は「ヒアリング」、すなわちお客が自分でも気づいていない本音や欲望を引き出すことにある。QRコード注文に象徴されるように機械は課題が定義されないと動けないが、人間は会話や食事を通じて本人も知らないニーズを掘り出せる。 ### 営業や交渉に必要な観察力はどうすれば鍛えられるか? 「この人への受け答えを間違ったら死ぬ」という緊張感のある人間関係の中でしか磨かれない。三浦は柔道部での組み手とメンヘラとの恋愛を例に挙げた。営業ロールプレイは意味がなく、本番の一対一の緊張感だけが観察力を育てる。 ### 「自分を大切にしてほしい」という本質的なメッセージを、届けたい相手に届けるにはどうすればよいか? 信仰宗教の勧誘手法が参考になる。鉄則は「宗教の話をするな」で、まず相手の根源的な悩みから入り、その解決策として自分のサービスに自然に気づいてもらう設計にする。「自分を大切に」と直接伝えるのではなく、「楽しい」「出世する」といった別の入口から入ることが鍵。 ## 本文 ## ドパ書きが量産される構造的理由 「ドパ書き」とはドーパミンを刺激する短期的興奮型コンテンツのことだ。残酷・露悪的なコンテンツへの需要は人間の本能的なものであり、90年代にも近親相姦を題材にしたドラマや、高校教師が女子高生と恋に落ちるドラマが存在したと三浦は指摘する。問題はコンテンツの質ではなく、「短期的な興奮がマネタイズできるビジネスモデルがテクノロジーによって完成してしまった」ことにある。投げ銭・ショート動画広告・細切れ課金といった仕組みが整備され、ワンピースのコミックスを500円払って買うような積み上げ型課金とは異なる収益化が可能になった。 ヒットの天井も大幅に下がっている。三浦が会場の来場者にいくつかのコンテンツを見たか挙手で確認したところ、全員の手が上がるものはなかった。大学時代のサークル仲間6人が集まっても、全員が見ているコンテンツは今やほぼ存在しない。NetflixオリジナルのコンテンツがTikTokやInstagramリールで切り刻まれてバズるように、メディアを横断する波及は起きるが、アルゴリズムによるフィルターバブルの中では「自分の周りでバズっているだけ」に見える。大谷翔平のような真のマスコンテンツは今後も生まれうるが、それはごく例外的な存在になると三浦は言う。 ## フィルターバブルとメディアリテラシーの危機 かつて産経新聞と朝日新聞は同じニュースを全く異なる論調で書き、読者もそれを承知で読んでいた。しかし今はYahooニュースやXのリンクを経由して記事を読むため、ソースがどのメディアかを意識しないまま消費している。ヤフーニュースのソースの約半数は産経新聞だが、多くの読者は気づいていない。「ニュースはどこから生まれたとしても全部刻まれて細切れにされて渡されている」と三浦は表現した。高市総理への信頼度がXのタイムラインと世論調査で大きく異なるのも、自分たちがどれほど深いフィルターバブルの中にいるかを示す例として挙げた。 この構造の危うさは、信頼されやすい発信者にも当てはまる。三浦は書評家・三宅香帆と歴史系Podcast「古典ラジオ」の深井龍之介を「本当に尊敬している友人」と前置きしつつ、「彼らの発信はその人の解釈・編集であり、歴史や文学の真実そのものではない」と断言した。日本人が思い描く坂本龍馬像はほぼすべて司馬遼太郎が創った坂本龍馬であり、史実の研究によっては「大したことをしていない人物」という解釈も成立する。発信者を「絶対的な権威」として受け取ることの方が、情報の分かりやすさ問題よりはるかに危険だというのが三浦の主張だ。 ## AI時代の人間の介在価値は「ヒアリング」 来場者からの質問「AI活用前提のクライアントワークで人間の介在価値は何か」に対し、三浦はQRコード注文を逆説的な例として持ち出した。ラーメン店でボタンを押せば注文は完結するが、接客の上手いスタッフがいれば「今日はチャーシューの仕込みがいい」「味噌にチャーハンが合う」という一言で客の注文が変わる。人間は「本当に欲しいもの」を自分でも知らないことがほとんどだ。それを引き出すのが人間にしかできないことだという。 良い営業と悪い営業の差もここにある。ダメな営業は「本当に欲しいものは何ですか?」と直接聞く。普通の営業は5〜6回飲みに行ってようやく本音が見えてくる。優秀な営業は1回の食事や打ち合わせで本音を引き出す。その差は「観察力」だ。観察力は「この人への受け答えを間違ったら死ぬという緊張感の中で人と向き合う経験」でしか磨かれない。三浦は高校時代の柔道部での組み手と、メンヘラとの恋愛を具体例として挙げた。営業ロールプレイは意味がなく、本番の緊張感だけが観察力を育てる。 ## 消費するコンテンツより「消費しないもの」を決める 三浦自身のコンテンツ摂取ルールは「何を見るか」より「何を見ないか」を決めることだ。売れているから・みんなが読んでいるから、という理由での摂取は一切しない。ビジネス書もほぼ読まない。自分が見かけてドキドキしたもの、信頼できる人が本気で薦めてくれたものだけを選ぶ。ただし箕輪厚介(ミノワ)のような圧倒的な読書量と教養の蓄積があっての編集センスであるように、ドーパミン系コンテンツだけで人間の深みや創造性を獲得することは難しいとも付け加えた。 ## 「本質的な価値」を届けたい相手に届けるには 「自分を大切にできる人を増やしたい」という起業家からの質問に対し、三浦は信仰宗教の勧誘手法を引き合いに出した。宗教の勧誘員が最初に習うのは「宗教の話をするな」だ。まず「最近物価が高いですよね」「友達がいなくて寂しいですよね」と相手の根源的な悩みから入り、最後にその解決策として宗教があると相手自身に気づかせる。同様に「自分を大切に」という言葉は直接使わず、「楽しい」「ポイントが貯まる」「出世する」という入口を設計し、その結果として自己肯定行動が生まれる構造にすることが鍵だと三浦は言う。 ## この回の要点 - ドパ書きが量産されるのはコンテンツの質の低下ではなく、短期的興奮をマネタイズできるテクノロジーの整備が原因。ビジネスモデルが変わったから作られるようになった。 - 三宅香帆・深井龍之介を含むすべての発信者は個人の解釈を届けており、それを真実と混同することが最大のメディアリテラシーリスクだと三浦は繰り返した。 - AI時代の人間の価値は観察力を駆使して相手自身も気づいていない本音・欲望を引き出す「ヒアリング」にあり、それは緊張感のある実体験でしか磨かれない。