# やな大臣いなす国交省 中間選挙とアメリカのだるさ 2題でお届けします #191 - Show: ニュースを深く面白く 報談 【HOU-DAN】 ホウダン - Published: 2026-10-08 - Canonical: https://podc.club/episode/1822960480_3c90ba9c5fd9.html - Audio: https://pdst.fm/e/traffic.megaphone.fm/TASC9935399347.mp3 - Source: この記事は、配信音声の冒頭30分ぶんを機械で文字起こしし、それをもとに編集したものです。番組の公式な要約ではありません。 栃木3区選出の農林水産大臣・柳和夫氏が、自分を応援しなかった首長の自治体に対して道路予算を最大64%削減したと地元党関係者の前で自ら認めた音声が流出。政治部記者の船越氏と元ワシントン総局長の餅月ひろつぐ氏が、この発言が従来の利益誘導政治とどう異なるのか、国交省の対応、高市政権の判断をめぐって論じた。アメリカ中間選挙の話題は予告のみで、この30分では本格的に扱われなかった。 ## この回が答えていること ### 農水大臣・柳和夫氏の音声発言とはどのような内容だったのか? 柳和夫農水大臣が就任前の5月に地元自民党関係者の懇親会で行った発言音声が週刊文春と下野新聞に掲載された。自分に反対した首長がいる那須川・矢山市の道路予算を前年比64%減(約3分の1)、中川町を54%減にしたと自ら認めており、「この話は一般の方の前ではしない」とも述べていた。 ### 船越氏はこの問題を過去の利益誘導政治とどう区別しているのか? 従来の道路族議員は予算を「増やす」ために動いてきた。田中角栄以来、二階俊博氏や小川誠氏らが地元に道路を引っ張ることを政治家の使命と公言してきた歴史がある。今回は自分の選挙区内でも市町村に差をつけて「削る」という発想で動いた点が前例のない驚きだと船越氏は指摘した。 ### 国交省はこの問題にどう対応したか? 国交省は10月6日夕方から約2時間のオンライン会見を開き、大臣から削減要求や問い合わせがあった事実を認めつつも、それによって予算配分を左右していないと主張した。船越氏は道路局を「そんなやわなところじゃない」と評し、省として独立して動いたとみている。 ### 高市政権はヤナ大臣問題をどう処理するとみられているか? 高市首相は昨年10月の政権発足以来、スキャンダルによる閣僚交代を一度も行っていない。船越氏は「乗り切れるかもしれないという思いがあるとするとトップとしての判断が問われる」と述べ、農水大臣のまま続けても国交省が迷惑を受け続けると指摘。どこかで判断を迫られるとみている。 ### ゲストの餅月ひろつぐ氏はどのような経歴の人物か? 1993年(平成5年)入社。最初の海外赴任はナイロビ(2004〜2007年)、その後ワシントン(2009〜2013年、オバマ政権期)を経て、2021〜2025年に再びワシントン総局長を務めた。アメリカ通算8年半。バイデン政権期の総局長として超党派の女性議員団にワシントンの政治状況を説明するなど外交的な役割も担った。 ## 本文 ## 「嫌な大臣」の音声が流出──何が問題なのか 農林水産大臣・柳和夫氏(栃木3区、今回の選挙で選挙区は落選し比例復活)が、就任前の5月に地元の自民党関係者との懇親会で行った発言の音声が週刊文春と下野新聞に掲載された。栃木3区は保守分裂選挙となっており、自民公認の柳氏と対立した無所属候補(渡辺氏)を市長・町長が応援した自治体に対して、道路予算を大幅に削ったと柳氏自身が認めた内容だった。 発言の要点は以下のとおり。那須川・矢山市の令和8年度道路予算を前年比64%減(約3分の1)に、中川町を54%減にした。「首長が自民党の国会議員はいらないという行動を取った」「多くの市民・町民がそのような判断をした」ことが理由だと明言。「この話は一般の方の前ではしない。いろんな見方をされる」とも述べており、幹部向けの内輪の発言のつもりだったとみられる。河川関係など命に直結する予算には手をつけていないとも付け加えた。 ## 利益誘導政治との決定的な違い 船越氏は「国会議員が地域のために予算へアクセスすること自体は否定しない」と前置きしたうえで、今回の問題を歴史的に位置づけた。田中角栄以来、特に道路予算は「奪い合い」が自民党政治の中核をなしてきた。二階俊博氏のように「地元に道路を引っ張ることが使命」と公言する議員は多く、小泉政権が公共事業費を10兆円規模から大幅削減し、民主党政権の「コンクリートから人へ」でさらに4兆円台まで落ちた後も、第二次安倍政権以降の国土強靱化路線で当初予算は6兆円水準に固定され、その中でのパイの奪い合いは続いてきた。 船越氏が「新しい」と驚いたのは、柳氏が「増やす」ではなく「削る」という意向を持ち、しかもそれを自分の選挙区内の市町村に対して実行した点だ。「そこには自分に投票した有権者も確実にいる」「2人の議員が2馬力で地域を良くすればいい」と船越氏は言い、自分の正義として堂々と地元予算を引っ張った二階氏らとは異なる次元の問題だと指摘した。 ## 国交省の対応──2時間の会見で何を言ったか 10月6日夕方、国交省は約2時間のオンライン会見を開いた。船越氏が見たところによると、省側は「削減要求や問い合わせがあった事実は認めるが、それによって配分をコントロールしていない」という主張を中心に据えていた。道路局は歴史的に政治家の要求と向き合ってきた部署であり、船越氏は「そんなやわなところじゃない」と評した。実際、道路局OBで「道路の神様」と呼ばれた佐藤信明氏は2000年代前半に局長を務め、後に新潟から自民党参議院議員として3期活動するなど、省と政治の間には長年の複雑な関係がある。今回は大臣が農水省であるにもかかわらず国交省が「とばっちり」を受けた構図で、省側としては自分たちの独立性を示す必要があった。 ## 高市政権の判断は──続報と政局への影響 収録時点(10月7日)ではすでに文春が第2弾として、選挙区内でバスによる送迎を行っていたとする疑惑(公職選挙法上の買収行為に当たりうる)も報じていた。船越氏は「内部から怨みを買っていないとこういう話は出てこない」と音声流出の背景を推察した。 高市首相は昨年10月の政権発足以来、スキャンダルを理由に閣僚を交代させたことが一度もない。船越氏は「冷徹な判断をまだ一回もしていないので、乗り切れるかもしれないという思いがあるかもしれない」と述べた一方、農水大臣のまま続投させれば国交省が迷惑を被り続ける構造を指摘し、「どこかで高市さんが判断しないといけない」とみた。また高市首相が応援演説で「私のヤナちゃん」と呼んでいた映像にも触れ、任命責任が政局に発展するリスクを示唆した。 ## ゲスト・餅月ひろつぐ氏の紹介 この回のゲストは元朝日新聞ワシントン総局長の餅月ひろつぐ(「平和の『ようじ』に、冊の横棒がはみ出ないものを書いて、右にツカサ」と本人が説明)氏。1993年入社で神田・船越両氏の先輩にあたる。ナイロビ(2004〜2007年)、ワシントン(2009〜2013年、オバマ政権期)を経て、2021〜2025年に再度ワシントン総局長としてバイデン政権を取材。アメリカ通算8年半。超党派の女性議員団(野田聖子氏、辻元清美氏ら)に現地の政治情勢を説明するなど、総局長としての外交的役割も担った。収録中は緊張気味で「聴いているであろう人たちの顔が浮かぶ」と話したが、船越氏は「終わる頃にはほぐれる」と見ていた。 ## この回の要点 - 柳農水大臣は自分を応援しなかった首長の自治体の道路予算を最大64%削ったと内輪の会合で自ら発言しており、自分の選挙区内で予算を政治的報復に使った点が従来の利益誘導とは次元が違うと指摘された - 国交省は10月6日に2時間の会見を開き「問い合わせは受けたが配分を左右していない」と独立性を主張。農水大臣案件なのに国交省がとばっちりを受けた構図となった - 高市首相は政権発足1年で閣僚交代ゼロの方針を続けており、スキャンダルを放置するか判断するかが今後の政局の焦点になるとみられている