#75 サルへの感情とわんぱく夏休みの話
学研の図鑑ライブ編集長の松原さんと、大学院でサルを研究していた編集部の翔二さんが、「動物図鑑」をもとに霊長目の分布・分類・個性的な種を解説する。翔二さんはサルへの感情が「好き」ではなく「わからなすぎて怖い」という複雑なものだと明かす。後半は翔二さんの愛媛旅行記として、オモゴ渓谷でのキャニオニング体験と宇和島の牛鬼祭りが語られた。
この回が答えていること
サル(霊長目)はどのような特徴を持つグループで、地球上のどこに分布しているのか?
脳が大きく知能が発達し、目が正面につき、前足で物をつかめ、平爪を持つグループ。哺乳類約6700種のうち約520種を占める。分布は赤道付近から南が中心で、日本ザルが生息する青森が世界最北端となる。
霊長目はどのように大きく分類され、それぞれにどんな個性的な種がいるのか?
鼻の内部構造によって「曲鼻猿類」(キツネザル・アイアイなど、マダガスカルに多い)と「直鼻猿類」(フサオマキザル・マンドリル・ゴリラなど)の2グループに大別される。フサオマキザルはナスカの地上絵に描かれるほど有名で、クレーンゲームができるほど賢い。
サルを研究していた翔二さんが「サルが好きなわけじゃない」と言う理由は何か?
「好きだから知りたい」ではなく「わからなさすぎるから知りたい」という感情で研究していたから。人に近い見た目なのに行動が理解しきれず、動物園で会うと「かわいい」より「どうも、お世話になります」という気持ちになると語った。
愛媛・オモゴ渓谷でのキャニオニングとはどのような体験だったのか?
仁淀川の源流に近いオモゴ渓谷で、インストラクターとマンツーマンで岩を登り、滝から飛び込み、川を流れた。前日の雨で増水していたが安全な範囲内で実施し、全身がムチ打ち状態になるほどハードだったが非常に楽しめたという。
宇和島の牛鬼祭りとはどのようなお祭りで、牛鬼の起源にはどんな説があるのか?
毎年7月に愛媛・南予地方で行われる伝統芸能で、シュロの毛に覆われた巨大な牛鬼の山車を担いで街を練り歩く。起源は、領主の家臣が赤い布で牛鬼の形を作り猛獣を防いだ説と、戦国武将・加藤清正が朝鮮出兵の際に敵を威圧した機構が元という説などがある。
霊長目とは何か――「知能が発達したグループ」に人間も含まれる
松原さんが持ち込んだのは学研の図鑑ライブ「動物図鑑」。58ページから霊長目(サル)の特集が始まる。「脳が大きく知能が発達したグループ」という説明に松原さんは「言われてみたくないですか」と笑う。目が正面についていること、前足で物をつかめること、そして物を傷つけない平爪を持つことが霊長目の三大特徴だ。人間も霊長目に含まれる。
哺乳類全体の種数は約6700種で、そのうち霊長目は約520種。分布を見ると、赤道付近から南のエリアに集中しており、南アメリカのアマゾン流域、アフリカ、インド、東南アジアなどが主な生息地だ。北方には極端に少なく、日本ザルが生息する青森が世界最北端とされている。翔二さんが「衝撃だった」と語るのが、モンキーセンターで見た光景だ。飼育員がブロワーで空気を送って火を起こす作業を、サルが怖がるどころか淡々と見守っていた。「2001年宇宙の旅みたいだった」と言う。
曲鼻猿類と直鼻猿類――知られざる二大グループ
翔二さんが「マジで知らなかった」と驚いたのが、霊長目が鼻の内部構造によって2グループに大別されるという事実だ。鼻の内部が曲がっている「曲鼻猿類」と、まっすぐな「直鼻猿類」に分かれる。
曲鼻猿類の代表がキツネザルやアイアイ。狐や犬のような細長い鼻先を持ち、いわゆる「サル顔」ではない。マダガスカルに特に多く分布する。一方の直鼻猿類が私たちのよく知るサルたちで、日本ザル・フサオマキザル・ゴリラなどが含まれる。
図鑑で紹介される種はバリエーション豊かだ。**フサオマキザル**は南アメリカのアマゾン流域に生息し、ナスカの地上絵にも描かれている。石を道具として木の実を割り、クレーンゲームができるほど賢く、欧米では介助動物としても活躍する。翔二さんが大学院で重点的に研究した種でもある。**コモンマーモセット**は耳周りの白いふさふさした毛が特徴で、松原さんは「バック・トゥ・ザ・フューチャーのドク博士みたい」と表現した。**ブラッツァグエノン**はエチオピアからアフリカ中央部に生息し、体長44〜54cmながら圧倒的な長老感のある顔が特徴で、「アフリカの森で遭難中に目が合ったらおしっこ漏れる」と翔二さんが言うほどの威圧感を持つ。**マンドリル**は赤・白・青の鮮やかな顔が特徴で、松原さんが学生時代に粘土で造形したほど好きな種。見た目に反して争いを好まない平和主義者で、長い牙は主に威嚇に使う。ゴリラの学名は「Gorilla gorilla」で属名と種名が同一。オランウータンは「森の賢者」の異名を持ち、チンパンジーは子どもの頃はかわいいが、大人は「本当に容赦ない」と翔二さんは釘を刺した。
翔二さんのサルへの複雑な感情
「猿が好きなわけじゃないんですよ」と翔二さんはきっぱり言う。「好きだから知りたいじゃなくて、こいつわからなさすぎるから知りたい、という感情」と説明した。松原さんも「ヘビに対してそういう気持ちがある」と共感する。動物園でサルと対面すると「かわいい」とはなれず「どうも、お世話になります」という感覚になってしまうらしい。人に近い見た目なのに行動が理解しきれない、その不気味の谷感が研究の原動力になっていたようだ。
愛媛旅行①――オモゴ渓谷でキャニオニング
お盆を避けて9月に夏休みを取った翔二さんは、3泊4日で愛媛へ。目的の一つが「キャニオニング」だ。渓谷の川が流れる場所を登ったり流されたりする、沢登りに近いアクティビティを指す。場所は高知・仁淀川の源流に近いオモゴ渓谷。エメラルドグリーンの水が岩の間を流れる絶景の地で、翔二さんが沈んでいる写真を松原さんに見せる場面もあった。
インストラクターとマンツーマンで、岩を登り、滝から飛び込み、川を流れた。前日までの雨で若干増水していたが安全な範囲内で実施。動画を見た松原さんが「頭がガクッガクッてなってる」と驚くほどのハードな内容で、全身ムチ打ち状態になったが「めっちゃ楽しかった」と太鼓判。自然と戯れたい人にはおすすめだという。
愛媛旅行②――宇和島の牛鬼祭り
2つ目の目的は宇和島の牛鬼祭り。毎年7月に愛媛県南予地方で行われる伝統芸能で、シュロの毛に覆われた巨大な「牛鬼」の山車を担いで街を練り歩く。翔二さんいわく「フォルムはアルパカ」で、頭からスラリと首が伸びて角が生えた怪物の形をしている。動画ではブレスのような煙を吹く演出もあり、翔二さんはそれをぜひ生で見たかったと語った。
展示施設で紹介されていた起源には諸説ある。領主の家臣が赤い布で牛鬼の形を作り猛獣の襲来を防いだとする説と、戦国武将・加藤清正が朝鮮出兵の際に敵を威圧した機構が元になったとする説だ。翔二さんは7月の本祭りには仕事の都合で行けなかったが、展示施設の巨大な牛鬼と記念写真を撮り、「次はお祭りの時期に来たい」と締めた。
この回の要点
- 霊長目は約520種を擁し、鼻の構造によって曲鼻猿類(キツネザル・アイアイ等、マダガスカルに多い)と直鼻猿類(フサオマキザル・ゴリラ等)に大別される。サルの分布は赤道付近から南が中心で、日本ザルの青森が世界最北端。
- 翔二さんのサルへの感情は「好き」ではなく「わからなさすぎて怖い・だから知りたい」という複雑なもの。研究者ならではのリアルな動機として語られ、動物園でサルと会うと「お世話になります」という気持ちになると明かした。
- 翔二さんの愛媛旅行ではオモゴ渓谷でキャニオニングを体験して全身ムチ打ち状態になるほど楽しみ、宇和島では牛鬼の展示施設を訪問。本祭りは7月のため見られなかったが、次回のリベンジを誓った。
この記事は、配信音声の冒頭30分ぶんを機械で文字起こしし、それをもとに編集したものです。番組の公式な要約ではありません。正確な内容は本編をお聴きください。