#76 どんぐりの戦略とあこがれの祭り話
学研の図鑑ライブ編集部の松原さんと翔二さんが、ブナ科の果実「どんぐり」の多様な種類・カクト(殻斗)の役割・豊凶サイクルの生存戦略を解説。後半は秋祭りの話題に移り、翔二さんが岸和田のだんじり祭りで育った体験を語り、葵祭・家康行列・郡上踊りへの憧れも披露した。
この回が答えていること
どんぐりはどんな種類があり、栗もどんぐりに含まれるのか?
ブナ科の果実すべてがどんぐりと呼ばれるため栗も含まれる。日本には22種類があり、コナラやミズナラが典型的なイメージだが、栗のイガはカクトが全体を覆うほど発達したものにすぎない。
カクト(殻斗)にはどんな形があり、何のために存在するのか?
カクトは外敵から果実を守る構造で、形は種によって大きく異なる。スダジイやブナは果実全体をカクトで覆う物理防御型、コナラなどはカクトが小さい代わりにタンニン(渋み成分)で虫を寄せ付けない化学防御型という二戦略がある。
どんぐりの木が豊作・不作を繰り返すのはどんな理由からか?
不作年に捕食者の個体数を減らし、その後の豊作年に一気に大量の実を付けて動物に食べられる量を超えさせることで子孫を残す戦略とされる。同じ森のどんぐりの木がこのサイクルをシンクロさせることで効果が高まる。
岸和田のだんじり祭りはどんなお祭りで、地元の子供はどう参加するのか?
9月中旬の2日間、木製の山車(だんじり)を引き回す祭りで、子供は後ろの綱を持って練り歩く形で参加する。街はエアーサロンパスの匂いに包まれ、渡りガニを食べる食文化もあり、地域全体が祭り一色になる。
二人がほかに語った秋祭りや行ってみたい祭りにはどんなものがあるか?
翔二さんは京都在住中に見られなかった葵祭(平安装束の行列)への憧れを語り、松原さんの地元・岡崎市の家康行列と流鏑馬も話題になった。二人が行ってみたいと挙げたのは岐阜・郡上八幡の郡上踊りで、夜通し続く徹夜踊りが名物。
どんぐりとは何か——22種類の多様な形
どんぐりとはブナ科の樹木の果実をまとめた呼び方で、学研の図鑑ライブ「植物」の168〜169ページには日本で見られる22種類が実物大で並んでいる。コナラやミズナラが典型的なイメージだが、栗もブナ科なのでどんぐりの一種だ。栗の「イガ」はどんぐりの帽子状のカクト(殻斗)が、果実全体を包むほど発達したうえに多数のトゲを生やしたものにすぎない。クヌギは丸みのある球形の実にうねうねしたトゲのあるカクトがはまり、アベマキも同様にウニのような形状のカクトを持つ。スダジイやブナはカクトが果実全体を覆い、熟すとパキッと裂けて中から実が出てくる。トトロが持つどんぐりのイメージに近いのはコナラで、ちょっと細長い形が特徴だ。
カクトの役割——物理防御と化学防御の二戦略
カクトの主な役割は外敵から果実を守ることにある。ゾウムシなどの昆虫が細長い口吻でどんぐりに穴を開けて中身を食べようとするのを防ぐのが目的だ。落ちているどんぐりに穴が開いている場合は「中に先客がいる」証拠なので、持ち帰るときは穴がないものを選ぶとよいという。
防御の方法は大きく二つある。スダジイやブナのようにカクトで果実全体を覆う**物理防御型**と、コナラやミズナラのようにカクトは小さいが果実にタンニン(渋み成分)を大量に含ませる**化学防御型**だ。タンニンは人間にとっては「渋い」程度だが、小さな虫には毒として機能する。縄文人がどんぐりを食べる際に長時間水にさらしてアク抜きをしたのはこのタンニンを除去するためで、現代でもどんぐりで昔のパンを作るワークショップではまず徹底的なアク抜きが必要だという。
どんぐりの豊凶戦略——捕食者を操る木の知恵
どんぐりの木は毎年同じ量を実らせるのではなく、豊作年と不作年を繰り返す。不作年に実を減らして捕食者(鳥やリスなど)の個体数を抑え、その後の豊作年に一気に大量の実を付けることで食べられる量を上回る実を余らせ、子孫を残すしくみだと考えられている。毎年一定量を実らせると捕食者もそれに合わせて増えて余りが出にくくなるため、あえて周期的な波を作る戦略だ。さらに同じ森のどんぐりの木がこの豊凶サイクルをシンクロさせているという点も注目で、足並みをそろえることで効果が高まる。松原さんは「飲食店の経営戦略みたいな話」と例えた。
岸和田のだんじり祭り——子供時代の生体験
大阪府岸和田市出身の翔二さんが語ったのが、毎年9月19・20日前後に行われるだんじり祭りだ。だんじりは木製の大型山車で前後に綱がついており、それを引いて街中を走り回る。子供は後ろ側の綱の端を持って練り歩く形で参加し、全力疾走には加わらないものの1日歩き回って足がパンパンになるほどの運動量になる。祭りの期間中、街はエアーサロンパスの匂いに包まれるという。夜中にも引き回しの練習の声が響き、学校も午後から早退できる子がいるほど地域全体が祭り一色になる。翔二さんの伯父は山車の上で踊る「大工方」を務めており、身近に憧れの存在がいた。祭りが終わると食卓に渡りガニが並ぶ食文化も根付いている。
名物の一つが「やり回し」で、4トン近い山車をS字カーブで猛スピードのまま曲がり抜けるシーンは、家がこすれることもあるほどの迫力だ。子供たちは学校の台車を廊下のカーブでやり回しの真似をして遊んでいたといい、普段はのんびりしている近所のお兄さんたちが鉢巻姿で別人のようにかっこよく見えたことへの憧れが、子供を熱狂させていた。
祭りへの憧れ——葵祭・家康行列・郡上踊り
翔二さんが大学院時代に京都に住みながらコロナ禍で見られなかったのが「葵祭」だ。下鴨神社・上賀茂神社が主催し、平安装束を身にまとった人々が馬や牛車とともに練り歩く行列で、在住中に装束姿の人や馬を街なかで偶然見かけたことはあったという。松原さんの地元・愛知県岡崎市では徳川家康にちなんだ「家康行列」が行われ、甲冑姿の鉄砲隊や流鏑馬も披露される。二人がともに行ってみたいと語っていたのが岐阜県郡上八幡の「郡上踊り」で、日本三大盆踊りの一つとされ、夏の夜に街全体で夜通し踊り続ける徹夜踊りが名物だ。
この回の要点
- どんぐりはブナ科の果実の総称で、カクトの形と防御方法(物理・化学)によって22種が異なる生存戦略を持つ。栗もその一種。
- どんぐりの木は豊作・不作を周期的に繰り返して捕食者の個体数をコントロールし、豊作年に余剰の実で子孫を確実に残す戦略をとる。
- 岸和田のだんじり祭りは学校も地域行事として組み込まれるほどの規模で、翔二さんは子供時代に綱を引いて参加した身近な憧れの祭りとして語った。
この記事は、配信音声の冒頭30分ぶんを機械で文字起こしし、それをもとに編集したものです。番組の公式な要約ではありません。正確な内容は本編をお聴きください。