# むしろ嫌いな食べ物の話をしよう。編集者・岡本仁さんの嫌いな(好きな)食べ物の話。 - Show: 味な副音声 ~voice of food~ - Published: 2026-10-04 - Canonical: https://podc.club/episode/1805510525_d8a52c7df453.html - Audio: https://feed.sonicbowl.cloud/audio/0af600e9-0937-4d40-a58f-a205afe7d201/audio.mp3?updated=1791123336 - Source: この記事は、配信音声の冒頭30分ぶんを機械で文字起こしし、それをもとに編集したものです。番組の公式な要約ではありません。 編集者・岡本仁さんが「好きな食べ物3選」を問われ「嫌いなものなら即答できる」と切り返し、豆乳・牡蠣・牛肉という嫌いな食べ物を次々と語る回。北海道の山中で育ち牛肉文化がなかった背景、唐津の高級和牛店で最安値の外国産赤身を迷わず注文した逸話、コーヒーとあんこは合わないという持論をコーヒーのプロ4人に全否定された話など、「嫌いがあるから好きが見える」をテーマに展開する。 ## この回が答えていること ### 岡本仁さんが嫌いな食べ物は何か、それぞれなぜ嫌いなのか? 豆乳・牡蠣・牛肉の3つ。豆乳は豆腐は好きだが豆乳だけはダメで韓国のコングクスも食べられない。牡蠣はどんな調理法でも見た目からして受け付けず、インスタに牡蠣の写真が上がっても「いいね」を押せないほど。牛肉は北海道の山中育ちで牛肉文化がなかったことが背景にあり、特に霜降りの脂が体に合わない。 ### 岡本さんが好きな食べ物として挙げたものは何か? あんこ(和菓子全般)、キムチ、インスタントラーメン。最近のお気に入りは北海道産「熊出没注意」の味噌インスタントラーメンにキムチを加えること。コングクスの名店でも豆乳が苦手なためキムチポックンパを選ぶなど、嫌いを避けながら好きを迷わず取る姿勢が一貫している。 ### コーヒーとあんこは合うか否かについて、岡本さんはどういう立場をとり、どう揺れているか? 長年「合わない」と確信していたが、コーヒー関係者4人(鶴見さん、メルシーベーク田代翔太さん、富士吉田の梶原さん、京都の大谷実さん)全員から「合う」と言われ動揺。試す気にはなりつつも、こだわりが崩れることへの惜しさを感じており、まだ完全には納得できていない。 ### 韓国ドラマ「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」の話はどのように食の哲学と結びついているか? ウ・ヨンウはキンパしか食べず、第12話でビビンパについて「予想外の味と食感が出てきて驚くのが嫌だからキンパがいい」と語る。岡本さんはこれを「嫌いがあるから好きを選べる」というロジックと重ね、自分がコングクスの名店でキムチポックンパを選ぶ行動と接続した。 ### 「嫌いなものが減るのは悲しい」という考えは誰のもので、どんな文脈で語られたか? ホストのさきこさんが著書「生まれた時からアルデンテ」に書いた考え方。嫌いなものを好む人の喜びは想像の中で無限に広がり、嫌いは自分らしさの一部であるため、それが減っていくことは「自分が自分でなくなるようで悲しい」と記した。 ## 本文 ## 「好きな食べ物3選」への反乱 番組の定番コーナー「ゲストの好きな食べ物3選」を問われた岡本仁さんは、開口一番「美味しいものすべてなので3つに絞れない。嫌いなものを3つ言えと言われたら即答できるけど」と返した。これが今回の核心。第一線の編集者らしい鋭い問い返しによって、好きな食べ物を語るはずの回は、嫌いな食べ物を掘り下げる珍しい展開へと転換した。 ## 嫌いな食べ物3つ——それぞれの理由 岡本さんが挙げた嫌いは豆乳、牡蠣、牛肉の3つ。豆乳は「豆腐は大好きだけど豆乳はダメ」という不思議な境界線を持ち、韓国の名物・コングクス(豆乳スープで食べる冷麺)が食べられない。牡蠣はどんな調理法でも「見た目からダメ」で、インスタグラムに牡蠣の写真が上がっても「いいね」を押せないほどだという。 牛肉は北海道の山中で育ったことが背景にある。地元の肉屋に牛肉がなく、すき焼きは豚肉、カレーもポークが当たり前だった。大学合格のお祝いに町の洋食屋で初めてステーキを食べたが「全然ダメだった」。特に霜降りは脂が体に合わない。唐津の高級店では佐賀牛だらけのメニューの中で唯一あったオーストラリア産の赤身(最も安いもの)を注文し、連れてきた人に「お金のことを心配しているのか」と言われた。それでも「私はこれが好きなのでこれを食べます」と貫いた。 ## ウ・ヨンウとビビンパ——嫌いが自分を作る 岡本さんは韓国ドラマ「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」を見直した際の発見を語った。自閉スペクトラム症の弁護士ウ・ヨンウは常にキンパしか食べない。第12話で屋上パーティーにキンパがなく、「ビビンパは予想外の味と食感が出てきて驚くのが嫌だからキンパはないですか」と言う場面がある。岡本さんはこれを「嫌いがあるから好きがある」というロジックと結びつけ、コングクスで有名な店に行っても豆乳が嫌いだから迷わずキムチポックンパを選ぶ自分の行動と重ねた。 ホストのさきこさんも著書「生まれた時からアルデンテ」に似た考えを記していた。嫌いなものがある人が「どんな風にそれを食べてどんなに幸せなのか」を想像でき、手が届かないからこそイメージが無限に広がる。嫌いは自分らしさの一部であり、「嫌いなものが減るのは悲しい」というのがその結論だ。時が経った今もその考えは基本的に変わっていないとさきこさんは振り返った。 ## あんこ・キムチ・インスタントラーメン——好きも登場 やや引き出される形で明かされた好きな食べ物はまずあんこ。「なぜ」と聞かれても「好きだから好き」と即答。著書「僕のおやつ地図」の表紙は四ツ谷・若葉のたい焼きで、和菓子への愛着は深い。あんこに合わせる飲み物は玄米茶かほうじ茶など焙煎系のお茶で、「コーヒーとあんこは合わない」と長年確信してきた。 ところがコーヒー関係者4人——鶴見さん、メルシーベークの田代翔太さん、富士吉田で店を営む梶原さん、京都の大谷実さん——とのトークイベントでその話をしたところ、全員から「合います」と断言された。大谷さんは自分の店でお正月にコーヒーぜんざいを作ると言い、岡本さんは「試すようになってはいる」ものの、固定観念を打ち崩すほどの確信は持てていないと話した。嫌いな組み合わせが「合うかも」と思えた瞬間、それを喜べるのかどうかも自信がないとも言い、嫌いへのこだわりが単なる好みを超えたアイデンティティになっていることをにじませた。 キムチも好きで、最近の流行りは北海道産インスタントラーメン「熊出没注意」(アサヒ食品製)の味噌味にキムチを加えること。「昔は味噌ラーメンにバターを入れていたのに今はキムチ」という変化も興味深い。コンビニやスーパーで買える札幌一番も愛用しており、韓国ドラマを見るたびにインスタントラーメンを食べたくなる、と笑った。ドラマでは鍋の蓋を裏返して器代わりにして食べるシーンが定番らしく、「素敵だな」と感じているとのこと。 ## ポッドキャストへの誘い さきこさんが「岡本さんのポッドキャストをずっと待っている」と伝えると、岡本さんは「編集者だから生のまま出すことに抵抗がある。番組に誘われると生放送か収録かとつい確認してしまうくらい、撮って出しで面白いとは思えない」と消極的に答えた。夫人の岡本敬子さんからも「自分でできる」と言われているそうだが、乗り気にはなれていない様子。さきこさんは「乗り気になったらマイクのすすめ方も教えますから」と呼びかけ、ファン待望の企画として期待をにじませながら回を締めくくった。 ## この回の要点 - 岡本仁さんの嫌いな食べ物は豆乳・牡蠣・牛肉の3つで即答できるほど明確。北海道の山中育ちゆえ牛肉文化がなかったことが背景にある。 - 嫌いなものへのこだわりはアイデンティティと直結しており、コーヒーとあんこが「合う」と証明されかけても素直に喜べない複雑さを岡本さん自身が語った。 - 「嫌いが減るのは悲しい」という哲学はホストの著書にも記された考えで、好きな食べ物3選より嫌いな食べ物の方が人となりをくっきり映し出すという逆説が今回の軸になっている。