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トキトケトーク · 社会/文化

#83【ダウ蓮見×朝井リョウ】進まないことが推進力

2026-10-19 · 46分 · 3分で読める

小説家・朝井リョウが初登場。「何者」映画キャスティングで感じた「画面が明るくなる俳優の不在」と、M-1動画で蓮見翔を初めて見たときの第一印象が重なったという秘話から始まり、「伏線回収」という流行語が物語の推進力を言い表せているかという文学論へと展開する。朝井の新聞連載体験や、蓮見がクレヨンしんちゃんの脚本で試みた「もどかしさによる推進力」の是非も語られた。

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この回が答えていること

  • 蓮見翔と朝井リョウはなぜ長い間なかなか会えなかったのか、きっかけは何だったか?

    共通の知人が多く出演機会も複数あったが、スケジュールが合わず実現しなかった。番組ディレクターの宇佐美さんが大阪のサイン会に足を運び名刺を渡したことが直接のきっかけとなり、朝井が番組への出演を希望する流れになった。

  • 蓮見翔が「磁場(ジバ)」と呼ぶ存在とはどんな人で、自分がそうなりつつあることをどう受け止めているか?

    検索しなくても名前が向こうから飛んでくる、人間一人分ではない存在感を持つ人のこと。車さんらを「地場(ジバ)」と称する中で、蓮見は「ジバになろうとしたわけではなく、気づいたらなっていた」と戸惑いを見せ、「任命されてしまった、しょうがない」と複雑な心境を語った。

  • 朝井リョウが「何者」映画キャスティング時に感じた「不在」と、蓮見翔に対する第一印象はどう結びついているか?

    2016年の映画「何者」で「パッと出た瞬間に画面が明るくなる20代の俳優」の名前がキャスト会議でなかなか出てこなかった。若い頃の妻夫木聡がそのイメージだったと朝井。数年後にM-1の動画で蓮見を初めて見た時、「昔の妻夫木聡みたいな空気の人がいる」と感じたのが最初の印象だったという。

  • 朝井リョウが「伏線回収」という言葉に違和感を覚える理由と、自分が考える「物語の推進力」とは何か?

    小林恵理香「女の子たちが風船爆弾を作る」を例に挙げ、植物描写や劇場の場所など本編中の細部が読後に「すべて風船爆弾の材料だった」と分かる構成を紹介。これは「伏線」とも「仕掛け」とも少し違う、より複雑な体験だと述べ、「読んで後からハッとするすべてが伏線ではない、言葉が足りていない」と語った。

  • 朝井リョウが新聞連載で「毎回引きを作る」ことができなかった理由は何か?

    先輩作家は「毎回引きをつけて書く」と言うが、どうしてもできなかったと告白。「新聞の読者が楽しめるかを度外視して書いてしまった」と述べ、本は一つの物体に閉じているので伏線を必死に貼らなくてよいと感じさせてもらえる、と連載と単行本の違いに言及した。

ようやく実現した初対面のいきさつ

ダウ90000の蓮見翔と小説家の朝井リョウは、共通の知人が多く「いつか会うだろう」と互いに感じていたが、スケジュールが合わず出演機会を逃し続けてきた。朝井にはマネージャーがおらず仕事の依頼を直接確認しているため、「蓮見さんの名前はあったけどスケジュール的に出られない、ということが何度もあった」と振り返る。実現のきっかけは、番組ディレクターの宇佐美さんが大阪で開かれた朝井のサイン会に足を運び、名刺を手渡したこと。「それがなくても出ていただけたと思う」と蓮見が補足する場面もあったが、朝井はディレクターの行動を素直に喜んだ。蓮見は過去のラジオで朝井が自分の名前に触れていたことも把握しており、「自分について語られているラジオは全部聴く」と明かして笑いを誘った。

ファイティングポーズと「磁場(ジバ)」になること

朝井は蓮見の姿勢を「ずっとファイティングポーズを取られている」と評した。蓮見は職業・肩書きへの誤解に抗い続けており、「許せないエネルギーがなくなる予感がない」と語る。一方、最近の心境の変化として、「嫌いな人を取り込まなきゃ」という発想から距離を置き始めたと告白した。好き・嫌いの両極の間に「なんとも思っていない人が98%いる」と気づき、「その98%に届ければいい」と思うようになったことで、やや「戦えなくなってきた」とも述べた。

話題は「磁場(ジバ)」という概念へ移った。蓮見いわく、検索しなくても名前が向こうから飛んでくる、人間一人分ではない存在感を持つ人のことで、車さんや朝井がその例として挙がった。蓮見自身は「ジバになってやろうと思っていたわけではなく、気づいたらなっていた。任命されてしまった」と複雑な心境を示し、「ちょっと嫌だ」と本音をのぞかせた。

朝井リョウの経歴と蓮見の第一印象

朝井は1989年生まれ、岐阜県出身。2009年に「桐島、部活やめるってよ」で第22回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2013年に「何者」で第148回直木賞を受賞、史上初の平成生まれの受賞者となった。「世界地図の下書き」で坪田譲治文学賞、「西荻窪」で柴田錬三郎賞、2026年には「インザメガチャーチ」で本屋大賞を受賞している。蓮見は「桐島」を中学の朝読書15分で読んだと明かした。

2016年の映画「何者」のキャスティングにあたり、朝井は「パッと出た瞬間に画面が明るくなるような20代の俳優」の名前がなかなか挙がらなかったと振り返る。奥行きや暗さを感じさせる俳優の名前は多く出たが、「明るくなる人」はいなかった。朝井の中では「若い頃の妻夫木聡さん」がそのイメージだったという。数年後、M-1の動画が話題になった2021年ごろに蓮見を初めて見た時、「昔の妻夫木聡みたいな空気の人がいる」と感じたのが第一印象だったと語った。

「伏線回収」という言葉の限界と物語の推進力

蓮見と朝井は、「伏線回収」という言葉が創作の語彙として流行していることへの違和感を共有した。朝井は小林恵理香著「女の子たちが風船爆弾を作る」を例に挙げた。戦時中、女学生たちが風船爆弾を作らされる物語で、本編中に植物の描写や東京宝塚劇場の建物の話が繰り返し差し込まれる。読んでいる最中はその意味が分からないが、読み終えると「本編中に出てきたすべてのアイテムが風船爆弾を作るためのものだった」と分かり、日常が武器に収斂されていく悲しさを体験する構造になっている。「これを伏線回収系と紹介されたら顔をしかめてしまう。読んで後からハッとするものすべてが伏線ではない、言葉が足りていない」と朝井は述べた。

一方、蓮見はコメディの作り手として「早く進めろよと思わせたら勝ち」という推進力の考え方を語った。クレヨンしんちゃんの脚本や、奥山大史監督の映画「アット・ザ・ベンチ」を例に挙げ、会話がどこへ向かうか分からない「もどかしさ」が推進力になりえると述べた。ただ、クレヨンしんちゃんでその手法を試みたところ、「つまんない」と感じさせる手前まではいかず結果として機能しきれなかったと反省した。

新聞連載と「引き」を作れない理由

朝井は新聞連載を2回経験している。先輩作家に聞くと「毎回きちんと引きをつけて書く」という方針を語る人が多かったが、朝井はどうしてもそれができなかった。「新聞という場所を間借りしているのだから、新聞の読者に楽しんでいただくことを考えて書く」という姿勢が先輩方にはある一方、朝井は「新聞の読者が面白いと思うかを度外視して書いてしまった」と告白した。本という形式は一つの物体の中に閉じ込めることができるため、伏線を必死に貼って毎回回収しなくてもいい、と感じさせてもらえるという認識の違いが、連載との相性に影響したとも述べた。

この回の要点

  • 朝井リョウは「嫌いな人を取り込むより、なんとも思っていない98%の人に届ければいい」と気づき、戦い方の変化を自覚している。
  • 「伏線回収」という流行語は物語の仕掛けを指す言葉として広まっているが、朝井は「後からハッとさせるすべてを伏線と呼ぶのは言葉が足りない」と違和感を示した。
  • 蓮見翔は意図せず「磁場(ジバ)」と呼ばれる存在になりつつあると感じており、選んだのではなく「任命されてしまった」と複雑な受け止め方をしている。

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この記事は、配信音声の冒頭30分ぶんを機械で文字起こしし、それをもとに編集したものです。番組の公式な要約ではありません。正確な内容は本編をお聴きください。