#109「メタ認知と金属バット」
リスナーの「自分の意見がなく世の中のことが分からない」という悩みへの回答から始まり、ヒコロヒーが単独ライブ第14回「燃える家」(4公演・即日完売)の報告後に受け取った「それって即完じゃないじゃん」というDMに激怒。機材席の仕組みを知らないまま攻撃してくる相手の行動を「メタ認知能力の不足」と断じ、知識のなさを自覚せず人の上に立とうとする構造を徹底的に語り下ろす。
この回が答えていること
自分の意見や世の中への関心はどうやって育てればいいか?
本や映画・ドキュメンタリーを通じて意見が育つと自分の経験から語る。まず興味のある分野から手に取ることが入り口になる。ガザ問題も2〜3冊読んで「わかった気」にはなれるが深く理解しているかは自信がないと正直に認める。
ヒコロヒーが金属バットを買いに行こうとした理由は何か?
単独ライブ即日完売を報告したインスタストーリーに「ってことは即完じゃないじゃん」というDMが届き、怒りのあまり近くの金物屋をGoogleマップで検索するところまで行った。最後の理性でアカウント名を読み上げることだけはやめたという。
「機材席の開放」とはどういう意味か?
ライブ会場で照明・音響機材のために確保していた席を、チケットが即完した後に追加販売すること。山下達郎のNHKホールでのプレミアムライブでも行われた慣行で、即完したからこそ開放できるという順序になる。
「テレビ見ないアピール」をしてくる人をどう見ているか?
「テレビを見ない・知らない」を盾に自分を優位に置こうとする人たちだと見る。ヒコロヒーは詳しくない相手でも「ご活躍は存じ上げております、お会いできて光栄です」と言うのが礼儀であり、知らないことを使った「ミニシアター劇場」に付き合う必要はないと語る。
メタ認知能力を高めるために大切なことは何か?
自分がどれだけ知っているかを常に疑い、「わかった気にならない」謙虚さを持つこと。知識がない自体は恥ではないが、知識がないまま攻撃的な態度を取る「根性」こそが恥ずかしいとする。そういう人は黙っていた方がいいと言い切る。
お便り:自分の意見をどう育てるか
ラジオネーム・ヨシイダさんから相談が届く。「昔から自分の意見がなく、経済・社会・政治情勢にも関心がない。何も分からないままではダメだと思い始めたが、何から取り組めばいいか」という問いだ。
ヒコロヒーは「私自身もあまり分からない」と前置きしつつ、自分の意見形成の経緯を語る。性差別・人種差別に強い姿勢を持つのは、本や映画・ドキュメンタリーを見る中で培われたという。さらに「マイクロアグレッション(無意識の差別・無自覚の偏見)」の概念を例に挙げ、外国出身と見た相手に「日本語上手ですね」と言うことが、想像力に欠けた小さな失礼になりうると語る。多くの人に言葉が届く仕事をしているからこそ、傷つけることを理解した上でボケる「覚悟」が必要だと言う。
一方で「世の中のことなんて分からないまま」とも吐露する。ガザ問題についても2〜3冊読んで「わかった気」にはなれるが深く理解しているかは自信がない。経済・株・NISAも「ただお金を稼いで貯めて死んでいくだけ」「50〜60歳になって資産運用していればよかったとなるだけ」と自嘲する。アドバイスは「興味のある分野から手に取ってみる」こと。
単独ライブ即日完売と、届いたDM
「腹が減っているのはいい、腹が立っているのが問題」と切り出し、話題が変わる。10月30日から始まる第14回単独ライブ「燃える家」(4公演)が即日完売した報告だ。
ヒコロヒーにとって単独ライブは特別な意味を持つ。芸人3〜4年目に初めて開催できたが、チケットが即完するまで長い時間がかかり、2017年頃にようやく速完しだしてから業界関係者の目に留まり、仕事につながっていったという。「来てくれることは当然じゃない」「今回の即完は前回の評価が反映されている」という信念のもと、ネタだけでなくグッズ販売・受付・誘導スタッフまで含めた「みんなでつくる満足度」を大切にしている。昨年の3公演から1公演増やして4公演、それも即日完売した。
インスタのストーリーズで「即日完売・機材席の開放をお待ちください」と投稿したところ、1件のDMが届く。「ってことは即完じゃないじゃん(笑)それって即完って言わなくない?」という内容だった。
機材席とは何か――知識なき攻撃の構造
ヒコロヒーの怒りは「機材席の開放の意味を知らないまま攻撃してきた」ことに向けられる。機材席とは、照明や音響機材のために確保しておく席のこと。チケットが即完した後に、その確保分を追加販売するのが「機材席の開放」だ。山下達郎のNHKホールでのプレミアムライブでも行われた慣行であり、「即完したから機材席を開放できる」という順序になる。
「お笑いライブの前提知識か、あるいは知らなかったとしても想像力があれば分かるはず」と言い、メタ認知能力が不足した状態でマウントを取ってくる「神経」に激怒する。「アカウント名を一文字一文字読み上げてもいいが、最後の理性でやめた」と明かしつつ、近くの金物屋をGoogleマップで検索するところまで行ったと笑いに変えてみせる。怒りの構造は「なぜ自分の知識のなさをすっ飛ばして攻撃的な態度で来るのか」に集約される。
「テレビ見ないアピール」との共通構造
DMの件と並べて語られるのが、飲み会などで「俺テレビとか見ないから、ヒコロヒーって知らないんだよね」と言ってくるタイプの話だ。第三者がフォローで「すごく有名だよ」と言うと、相手は「え、そんな有名なの?俺だけ知らないの?やばい」と気を良くする。ヒコロヒーは「その劇場に付き合う必要はない」「燃料を投下して気持ちいい素材を与えているだけ」と冷静に分析する。
自分なら詳しくない相手でも「ご活躍は存じ上げております、お会いできて光栄です」と言う、と述べ、知らないことを盾に優位に立とうとする姿勢との違いを示す。DMの相手も「テレビ見ない」アピールの相手も、「自分の解像度の低さを自覚しないまま人の上に立とうとする」という構造は同じだという。
メタ認知と謙虚さへ
「知識がないことは恥ずかしくない。知識がないのに攻撃的なものを送る、その根性が恥ずかしい。だから黙っていた方がいい」というのが今回の核心だ。
自分自身も「コンディションが悪くてブチギレてしまった、相手の思うツボ」と振り返り、精進を誓う。締めは「自分がどれだけ知っているかを常に疑い、わかった気にならない謙虚な姿勢を持つ人は、マウントを取らずとも自然と信頼・尊敬を勝ち取る。勝手に優位に立てる」という言葉。「私が立っていきたいのは岩場だけ」と笑いでまとめた。
この回の要点
- 意見は本・映画・ドキュメンタリーを通じて育つ。まず興味のある分野から手に取ることが第一歩で、「すべて分かる」必要はない。
- 機材席の開放は即完の証であり、知識なく攻撃的なDMを送ることはメタ認知能力の欠如そのもの。知らないこと自体より、知らないまま攻撃する根性が問題だ。
- 自分がどれだけ知っているかを常に疑い謙虚でいる人は、マウントを取らずとも自然と信頼と尊敬を得られる。
この記事は、配信音声の冒頭30分ぶんを機械で文字起こしし、それをもとに編集したものです。番組の公式な要約ではありません。正確な内容は本編をお聴きください。