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NIKKEI THE PITCH会議室 第25回 政府が動いた、民間が動いた——知っておきたい 防衛×スタートアップ

2026-10-16 · 25分 · 3分で読める

ウクライナ戦争でドローンが戦争の主役となり、スタートアップの機動力と最新技術が防衛の世界に不可欠になっている。日本政府は2027年度に防衛スタートアップ支援の新法人設立を計画し、無人機予算を前年度比2.4倍の2773億円に拡大。この政府の動きに連動して、日本政策投資銀行・三菱UFJ銀行・VCが防衛関連投資への姿勢を相次いで転換しつつある実態を、テラドローンや魚AIといる具体的な事例とともに解説した。

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この回が答えていること

  • なぜ今、防衛産業でスタートアップが注目されているのか?

    ウクライナ戦争でドローンが主力兵器となり、弱点を短期間で修正して再投入するサイクルが主流になったため。昭和型の大企業・大型兵器中心の産業構造では対応できないスピードとコストが求められ、スタートアップのアジャイルな開発スタイルと合致するようになった。

  • 日本政府は防衛スタートアップをどのような仕組みで支援しようとしているのか?

    2027年度に防衛省・経産省共同の新法人を設立しVCを通じた呼び水資金を供給する計画。無人機予算は前年度比2.4倍の2773億円。「迎撃ドローン早期取得プログラム」で公募から調達まで約3か月に短縮。2026年4月の制度改正で完成装備品の輸出制約も撤廃された。

  • 銀行やVCなど民間の資金はどのように動き始めているのか?

    日本政策投資銀行が武器製造関連企業への投融資方針を「慎重に対応」から「検討可能」に転換。三菱UFJ銀行も防衛関連企業への融資拡充方針を表明。VCではクロステックベンチャーズが3号ファンドで防衛スタートアップ投資を本格化。グロービスキャピタルの代表も政府調達が付く環境での投資機会に言及している。

  • 防衛分野で実際に動いている国内スタートアップの具体例は何か?

    テラドローンの国産迎撃ドローン「テラB1」が早期取得プログラムの実証試験を単独通過し、2026年8月に防衛装備庁と量産調達契約を締結(9月納入予定)。魚AIは今年上半期に310億円超を調達し、防衛装備庁の研究受託と防衛省とのAI活用調査契約を結んだ。

  • 日本の防衛スタートアップが直面している課題は何か?

    契約後の支払いが2年後になるケースや契約額の1割を保証金として現金納付が必要なケースがあり、体力のないスタートアップの資金繰りを圧迫する。量産体制も課題で、政府は2030年までに国産無人機を年間8万台生産できる体制を目標とするが、それを担う工場・企業の整備はこれからだ。

なぜ今、防衛×スタートアップなのか

ウクライナ戦争が防衛産業の常識を変えた。かつては戦車・戦闘機・ミサイルを大手重工業メーカーが時間をかけて製造するのが当たり前だったが、ウクライナではドローンが主力となり、弱点を素早く改修して次の戦いに投入するサイクルが繰り返されている。昭和型の安定・大型・長期開発という産業構造では対応できないスピードとコスト感覚が求められるようになった。

ドローンはもともと民生技術が基盤だ。5000〜6000円の子ども向けおもちゃとして売られるドローンの多くは中国メーカー製で、その技術を防衛用途に転用する「デュアルユース」という考え方が広がっている。AIやロボットも同様で、工場の自動化に使われる人感センサー技術が攻撃システムに転用されうる。国産技術を育てなければ安全保障上のリスクになるという危機感が、政府・民間双方で高まっている。

政府の動き——3つの柱

**新法人の設立**:2027年度に防衛省と経済産業省が共同で、国内VCを通じてスタートアップに投資する専門法人を設立する計画が進む。民間資金が入りにくい防衛分野の「呼び水」として政府が最初の大口顧客になる位置づけだ。無人機関連の予算は前年度比2.4倍の2773億円が計上された。

**迎撃ドローン早期取得プログラム**:従来は時間のかかる防衛調達を抜本的に短縮したプログラム。公募から調達まで約3か月というスタートアップ界隈では当然の速度を、防衛調達に持ち込んだ。

**輸出制度の改正**:2026年4月の制度改正で完成装備品の輸出制約が撤廃された。殺傷能力のある武器は政府審査が必要で売れる国も限定されるが、日本製防衛装備を海外展開しやすくする枠組みが整いつつある。アメリカ政府が同盟国に装備品を売る政府間取引(FMS)のような仕組みを日本でも整備する流れの一環だ。

民間の動き——銀行・VC・大企業

政府の方針転換を受け、民間資金も動き始めた。日本政策投資銀行は武器製造関連企業への投融資方針を「慎重に対応」から「検討可能」に変更。三菱UFJ銀行も防衛関連企業への融資拡充方針を示した。欧州でのウクライナ侵攻を機に防衛産業への見方が変わった流れが日本にも波及した形だ。

VCではクロステックベンチャーズが3号ファンドで防衛スタートアップへの投資を本格化すると発表。グロービスキャピタルの代表は「政府調達が付く環境だからできる投資がある」と明言した。「政策に売りなし」の格言どおり、政府の方向性が投資判断に直結している。

大企業とのオープンイノベーションも進む。国内大手重工業メーカーがプリファードネットワークスに出資して防衛装備品向けAIを共同開発。楽天はドイツの防衛AIスタートアップ「Helsing(ヘルシング)」と連携する動きを見せた。世界全体の防衛スタートアップ向けVC投資は、ピッチブックのデータによると2026年上半期で408億ドル(約6.4兆円)と前年比56%増に達しており、日本はその入り口段階にある。

注目スタートアップと残された課題

**テラドローン**は国産迎撃ドローン「テラB1」が早期取得プログラムの実証試験を単独通過し、2026年8月に防衛装備庁と量産調達契約を締結(9月納入予定)。さらにウクライナの迎撃ドローン企業の子会社化を進めており、実戦で磨かれた技術の取り込みも図っている。**魚AI**は防衛分野強化のため今年上半期に310億円超を調達。防衛装備庁の研究所からドローン等の取得データを分析して指揮官の判断に活かす研究を受託し、2026年7月には防衛省とAI活用の調査実証契約も結んだ。米国のパランティアがAIで作戦判断を支援する事例と近いモデルだ。

一方で課題も残る。契約後の支払いが2年後になるケースや、契約額の1割を保証金として現金納付が必要なケースがあり、体力の乏しいスタートアップの資金繰りを直撃する。政府も前払い認定などの改善を打ち出し始めているが、大型兵器調達を前提とした旧来の制度が根本から変わりきっていない。もう一つの壁が量産体制だ。政府は2030年までに国産無人機を年間8万台生産できる体制を目標とするが、それを担う工場と企業の整備は今後の大きな課題として残る。インターネット自体がもともと軍事技術から生まれた民間転用の例であるように、防衛から生まれた技術が平和利用に広がるかどうか、技術の使われ方を社会でどう管理するかも避けられない問いだ。

この回の要点

  • 政府は新法人設立・無人機予算2.4倍・早期取得プログラム・輸出制度改正と矢継ぎ早に防衛スタートアップ支援の環境を整備している
  • 政府方針を受けて日本政策投資銀行・三菱UFJ・VC・大企業が相次いで防衛関連の投資・融資・連携に踏み出した
  • 支払い遅延・保証金による資金繰り悪化と量産体制の未整備が、スタートアップ成長の2大課題として残っている

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この記事は、配信音声の冒頭30分ぶんを機械で文字起こしし、それをもとに編集したものです。番組の公式な要約ではありません。正確な内容は本編をお聴きください。