# 【ニュース小話 #233】高市首相、国連総会で初の演説。込められたメッセージを考察 - Show: News Connect あなたと経済をつなぐ5分間 #ニュースコネクト - Published: 2026-09-27 - Canonical: https://podc.club/episode/1608666340_aea905a43feb.html - Audio: https://anchor.fm/s/81fb5eec/podcast/play/126343251/https%3A%2F%2Fd3ctxlq1ktw2nl.cloudfront.net%2Fstaging%2F2026-8-26%2Fdee64f0c-7c12-7e37-cf6a-98b07003fe91.mp3 - Source: この記事は、配信音声の冒頭30分ぶんを機械で文字起こしし、それをもとに編集したものです。番組の公式な要約ではありません。 高市首相が国連総会で初の一般討論演説を行い、ICC支持と法の支配を訴えながらもトランプ政権によるICC制裁には直接触れなかった。米中首脳会談は実質的な合意なくセレモニーで終わり、トランプ大統領はCNN・MSNBCなど主要3社をホワイトハウスから出入り禁止にする一方、日米英の長期金利がそれぞれ数十年ぶりの高水準に跳ね上がった1週間をゲストとともに振り返る。 ## この回が答えていること ### 高市首相は国連演説でICCへのトランプ政権の制裁をどう扱い、何を強調したのか? ICCについては「一貫して支持する」と明言したが、直前にトランプ政権がICC検察官らを制裁対象に加えていたことには直接触れず、米国への明示的な異議表明は避けつつ、法の支配に基づく国際裁判規範の堅持を強調した。 ### グテーレス国連事務総長が「国連に本当の力はない」と発言した背景と意味は何か? グテーレス氏は「事務総長に本当の力はない」「軍隊も情報機関もお金もない」と発言し、常任理事国ロシアがウクライナ侵略への制裁決議に拒否権を行使する状況を背景に、国連・国際協調の限界を自ら認めたものだった。 ### 米中首脳会談でAI規制・貿易・台湾問題はどう決着したのか? AI規制は合意がペンディングのまま持ち越され、貿易は11月期限だった休戦をベッセント財務長官が延長することで合意した点のみが具体的成果となり、台湾情勢は現状維持という結論にとどまった。 ### トランプ大統領のメディア出入り禁止措置に対して司法とメディア各社はどう反応したか? 出禁とされたCNN・MSNBC・ポリティコは即座に提訴し、連邦裁判所は24日に憲法修正第5条の適正手続きの観点から即時差し止めを命じた一方、他の主要メディアも連帯して大統領の公式行事をボイコットした。 ### 日米英の長期金利が数十年ぶりの高水準に達することで家計や財政にどんな影響が出るのか? 米住宅ローン金利が7%を超え5000万円借入の総返済額が1億円以上になるなど家計負担が増し、日本ではゼロ金利ネイティブ世代に高金利感覚が戻り、国債利払い費が社会保障費とともに財政を圧迫するリスクが強調された。 ## 本文 ## 高市首相、初の国連演説——ICCと「旧敵国条項」に込めたメッセージ 9月18日から28日にかけてニューヨークで開催された国連総会ハイレベルウィーク。高市首相は22日にトランプ大統領と日米首脳会談を行い、経済安全保障や日米同盟の強化、日米関税合意の着実な実施に向けた協力を確認した。23日には国連一般討論演説を行い、国際通貨・為替情勢も議題になったとされる。 演説の柱となったのは「法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序」への貢献表明だ。国際刑事裁判所(ICC)については「一貫して支持する」と明言し、国際仲裁裁判所・国際海洋法裁判所なども含む国際裁判規範を堅持する姿勢を示した。ただし直前にトランプ政権がICC検察官らを制裁対象に加えていたことには直接触れなかった。ゲストは「触れざるを得ない部分はきちんと触れた。ただ米国に対して明示的に異を唱えることは避けた——予想通りの形」と評した。 高市首相はさらに、国連憲章に残る「旧敵国条項」が早急に削除されるべきだと訴え、常任理事国・非常任理事国の拡大も要望した。この発言は、中国が「日本は新たな軍国主義」というナラティブをアジア各国に向けて展開している状況と直結しており、「戦後70年以上、どの国にも行って人を傷つけていない。その歴史的正当性——モラルハイグラウンドを前面に出した演説」と分析された。 ## 国連の「無力宣言」とモラルハイグラウンドの限界 今回の国連総会でもう一つ注目を集めたのが、2026年末で10年の任期を終えるグテーレス事務総長の発言だ。今年のテーマを「力」と定めた総長は記者会見で「国連事務総長に本当の力はない」「軍隊も情報機関もお金もない。持っているのはソフトパワーと各国を集める能力だけ」と述べ、現在の国連の限界を自ら公言した。 ゲストはこれを「言っちゃったな、という感じ」と受け止めつつ、構造を次のように読み解いた。「安保理常任理事国のロシアがウクライナを侵略し、その制裁決議に拒否権を行使している。これが最も明白な例であり、国際協調が無力感を帯びている」。ロシアのウクライナ侵略について英語で「ロシアのウクライナへの侵略はmost obvious exampleだ」と高市首相が演説で明示的に言及したことは評価した一方、高市演説が訴えた「法の支配・モラルハイグラウンド」という手法そのものが、力の支配が台頭する世界で効力を失いつつあるという構造問題が浮かびあがった。 ## 米中首脳会談:「管理された競争」のセレモニー 9月24日に行われたトランプ大統領と習近平国家主席の首脳会談は、「セレモニー感があった」という総括に尽きる。注目されていたAI規制については合意のペンディングが続き、11月に期限を迎える予定だった貿易上の休戦をベッセント財務長官が延長することで合意したことが唯一の具体的成果だった。台湾情勢は「現状維持」という結論に落ち着いた。 両大国が「自分たちで管理しながら競争する」という大枠を確認し合う場にとどまった今回の会談。なかでも波紋を呼んだのが、習近平氏が「米国と中国はかつて共にファシズムと戦った」と述べ、トランプ氏がこれに同調したとされる場面だ。「当時の中国は中華民国であり、現在の中華人民共和国とは別の国」という歴史的事実が無視された形でナラティブが共有され、高市首相が旧敵国条項の削除を訴えた文脈と直結する「歴史観の戦い」が表面化した。 ## トランプのメディア排除と「トランプTV」の登場 9月18日、トランプ大統領はCNN・MSNBC・ポリティコの3社をホワイトハウスから出入り禁止とした。理由は「フェイクニュースを意図的に報道している」というもの。3社は即座に提訴し、連邦裁判所は24日に憲法修正第5条(適正手続き)の観点から即時差し止めを命じた。政権側は記者証の取り消しという形で対応をずらしてきており、法的攻防は継続している。 さらに他の主要メディアは連帯し、大統領の公式行事をボイコットするという異例の事態が発生。「Fox Newsまで連帯するレベル」とゲストは表現した。その一方でトランプ大統領はYouTubeの24時間ライブ機能を活用したオウンドメディア放送を開始。ゲストは「地上波を追われた人がYouTubeを始めるパターン」と皮肉しつつ、「世界最大の軍事力を持つ国のトップが権力監視機能であるメディアを排除しようとしている。大国による力の支配と国際協調の崩壊という流れと全く同じ文脈で非常に良くない」と危機感を示した。 ## 世界的金利上昇——30年ぶりの水準が意味するもの 今週のもう一つの重大ニュースが世界的な金利上昇だ。米国の10年国債利回りは2007年以来の高水準となる5.13%に上昇。日本の長期金利は3.075%に達し、1996年以来約30年ぶりの水準となった。英国では30年国債利回りが5.85%と1998年以来の高水準に跳ね上がり、バーナム政権は過去2年間で累積680億ポンドに及ぶ増税への国民の反発と財政悪化の板挟みに直面している。英国中央銀行(イングランド銀行)副総裁は24日、中東紛争の長期化次第では追加利上げに踏み切る構えを示した。 米国の30年固定住宅ローン金利は7%を超え、「5000万円を借りると総返済額が1億円以上になる計算」とゲストは指摘。直近ではイスラエルとイランが緊張した局面から1%上昇しており、住宅着工件数の落ち込みを通じた景気減速の予兆として警戒感が示された。日本では「ゼロ金利ネイティブ世代にとって、親の世代が経験したバブル期の高金利が戻ってくる感覚」とも表現され、国債の利払い費が社会保障費とともに財政を圧迫するリスクが強調された。大国の力による支配、メディア圧力、金利上昇という三つの潮流が重なる中、「ナショナリスティックな動きとこの経済環境が結びつくことが最も避けたいコース」として警鐘が鳴らされた。 ## この回の要点 - 高市首相は国連演説でICCへの支持と「法の支配」を明言したが、米国のICC制裁には直接言及せず、モラルハイグラウンドを保ちつつ対米摩擦を回避する二重の綱渡りを演じた。 - 米中首脳会談は貿易休戦の延長以外に実質合意なく終わり、「管理された競争」という大国間の枠組みが固まる一方、習近平の「米中は共にファシズムと戦った」発言にトランプが同調したことで歴史ナラティブの戦いが顕在化した。 - 米国10年債5.13%・日本長期金利3.075%・英国30年債5.85%と主要国で数十年ぶりの金利水準が揃い、米国住宅ローン7%超が景気減速の引き金になるかが焦点となっている。