# 【ニュース小話 #235】ロシアによる「グレーゾーン攻撃」。実態は戦争状態に近い - Show: News Connect あなたと経済をつなぐ5分間 #ニュースコネクト - Published: 2026-10-11 - Canonical: https://podc.club/episode/1608666340_a5570ab6a10a.html - Audio: https://anchor.fm/s/81fb5eec/podcast/play/127261335/https%3A%2F%2Fd3ctxlq1ktw2nl.cloudfront.net%2Fstaging%2F2026-9-10%2F4a3a512d-9c1b-45b5-85d5-95e94c430e49.mp3 - Source: この記事は、配信音声の冒頭30分ぶんを機械で文字起こしし、それをもとに編集したものです。番組の公式な要約ではありません。 スペイン・マドリードで50万人規模の住宅抗議デモが発生し、観光化による家賃高騰で87歳の高齢女性が強制退去させられた映像が国際的な注目を集めた。ロシアはNATO諸国へのドローン侵入や放火などグレーゾーン攻撃を激化させており、スウェーデンが戦死者埋葬演習を実施するなど欧州の緊張は「ほぼ戦争状態」の様相を呈している。イエメン政府軍がバブ・エル・マンデブ海峡の要衝を奪還し、ブラジル大統領選では右派ボルソナロ前大統領の長男が現職ルーラ大統領を第1回投票でリードした。 ## この回が答えていること ### スペインで50万人規模のデモが起きた直接のきっかけと背景は何か? 観光客向け短期滞在アパートの需要増大で家賃が急騰し、マドリードのアパートに70年近く暮らしてきた87歳の女性が車椅子から引きずり下ろされ強制退去させられた映像が抗議の火付け役になった。長年住んできた地元住民が街を追い出される事態が日常化しており、若者や低所得者層の怒りが爆発した。 ### ロシアのグレーゾーン攻撃とはどのような手口で、なぜ「ほぼ戦争状態」と言えるのか? ロシアはNATO諸国に対してサイバー攻撃・偽情報・放火などの破壊工作を仕掛けており、ウクライナ人を資金で雇って放火させるなど工作の実態は「黒に近い」水準まで達している。核による恫喝が繰り返されても実際には使用されないと判明したことで、ハイブリッド戦争がエスカレートし続けている。 ### カリーニングラードとはどのような地政学的拠点で、なぜ今注目されているのか? カリーニングラードはポーランドとリトアニアに囲まれたロシアの飛び地で、第二次大戦後のポツダム協定でソ連領となった。1991年のソ連崩壊でバルト三国が独立したため本土と切り離される形となり、現在は核搭載可能なミサイル「イスカンデル」が配備されている。ロシアはこの飛び地を孤立させようとするなら核を含む全戦力を使うと書簡で伝えた。 ### イエメンのバブ・エル・マンデブ海峡をめぐる情勢はどう動き、日本への影響は何か? イエメン政府軍が5日に重要拠点を奪還し、サウジアラビア・トルコ・パキスタンの3カ国がメッカ防衛協定に基づく軍展開で合意した。この海峡が不安定化すると石油の供給不安に直結し、原油価格の高騰につながるため日本にとっても重大な問題である。 ### ブラジル大統領選の結果と、南米全体に広がる「ブルータイド」の背景は何か? フラビオ・ボルソナロ議員が得票率47%で現職ルーラ大統領の45%をリードし、25日の決選投票に進む。南米全体では2000年代の左派「ピンクタイド」の反動として右派「ブルータイド」が広がっており、治安悪化と経済停滞への不満が各国で共通の政権交代の原動力になっている。 ## 本文 ## スペインのジェントリフィケーション問題——70年居住の高齢女性が強制退去 マドリードの中心部にある広場で、主催者発表で50万人規模の住宅抗議デモが行われた。直接のきっかけは、マドリードの賃貸アパートに1956年から約70年間暮らしてきた87歳の女性が車椅子から引きずり下ろされ、担架に乗せられて強制退去させられた映像だ。観光客向け短期滞在アパートの需要増大などを背景に家賃が高騰し、長年暮らしてきた住民が街を追い出される事態が日常化している。 日本でも対岸の火事ではない。東京都の8月の中古マンション平均価格は1億1274万円(前月比0.2%安)で28ヶ月ぶりに下落したが、28ヶ月前の2024年4月時点での平均は6376万円であり、2年半で大幅な上昇が続いてきたことがわかる。 深井氏は「都市の競争力は人の集積で高まるが、住宅コストが上がりすぎると賃金の上昇が追いつかず格差が拡大する」と構造を整理した。東京の賃料はニューヨークと比べると約6分の1と世界水準ではまだ割安としつつ、投機目的の取得を抑制する政策の難しさや、バブル崩壊の再来リスクにも言及した。 ## ロシアのグレーゾーン攻撃——核の恫喝は通じず、ハイブリッド戦争がエスカレート フィナンシャル・タイムズが報じたところによると、ロシアはNATOに対し、飛び地カリーニングラードを孤立させようとした場合には核兵器を含む全戦力を使うとする書簡を送っていた。カリーニングラードはポーランドとリトアニアに囲まれたロシアの飛び地で、第二次世界大戦後のポツダム協定でソ連領となった。1991年のソ連崩壊でリトアニアなどが独立したことで本土から切り離された形となり、現在は核搭載可能なミサイル「イスカンデル」も配備されている。 NATO各国に対するサイバー攻撃や偽情報の拡散、放火といった破壊工作も観測されている。ロシアが資金を払ってウクライナ人に放火させることでウクライナ支援国への疑念を煽る手口も報告されており、深井氏は「グレーゾーンの話は『だいぶ黒に近い』」と表現した。15日にはリトアニア上空に国籍不明のドローンが侵入し、NATOのイタリア軍戦闘機が緊急発進した。ポーランドのトゥスク首相は「ロシアが西側の対応限界をテストしている」と発言している。 核による恫喝はクルスク作戦への報復など繰り返されているが実際には使用されておらず、深井氏は「核が使えないと明らかになった分、通常戦とハイブリッド戦争がひたすらエスカレートしていく」と分析した。スウェーデンが戦死者の埋葬手順(遺体袋への収容・ロジ輸送・宗教者立ち会いの埋葬)を演習していることを紹介し、欧州が本格的な武力紛争を念頭に置いた準備を進めている状況を伝えた。 ## 中東:イエメン政府軍がバブ・エル・マンデブ海峡を奪還 イエメン政府軍は5日、反政府組織フーシ派に対する大規模攻撃を実施し、インド洋とアラビア海をつなぐ出口にあたるバブ・エル・マンデブ海峡周辺の重要拠点を奪還したと発表した。ほぼ同じタイミングで、サウジアラビア・トルコ・パキスタンの3カ国が8月に締結したメッカ防衛協定の緊急会合がリヤドで開かれ、サウジアラビアへの軍部隊迅速展開で合意した。同協定は「加盟国の一国への攻撃は全加盟国への攻撃」とみなすNATO型の集団防衛体制を定めている。 深井氏はこの3カ国体制がイランを包囲する地政学的配置になっていると指摘。パキスタンがイスラム圏唯一の核保有国である点にも注目した。フーシ派はイランの支援を受けており、アメリカとイスラエルがすでにイランと実質的な対立状態にある中、イランがさらに強硬化するかが焦点となる。バブ・エル・マンデブ海峡の不安定化は石油供給不安に直結し、原油価格の高騰につながるため日本経済にも影響が及ぶ。 ## ブラジル大統領選と南米の「ブルータイド」 10月4日に行われたブラジル大統領選の第1回投票で、右派のフラビオ・ボルソナロ議員(ジャイル・ボルソナロ前大統領の長男)が得票率47%を獲得し、現職のルーラ大統領の45%を上回って首位に立った。過半数には届かなかったため、25日に上位2名による決選投票が実施される。フラビオ氏は当選した場合に父親への恩赦を公約しており、強硬な治安対策と厳税政策を掲げている。なお父のジャイル・ボルソナロ前大統領は2022年の選挙でルーラ氏に敗れた後、クーデターに関与したとして27年の実刑判決を受けている。 南米全体では「ブルータイド」と呼ばれる右派政権誕生の波が広がっており、アルゼンチン・コロンビア・チリ・ペルー・ボリビアなどでも右派系指導者が躍進している。2000年代の左派「ピンクタイド」の反動として起きているこの潮流の共通要因として、深井氏は治安悪化と経済停滞を挙げた。リオデジャネイロでは約1年前にギャング対警察の激しい戦闘で132人以上が死亡しており、治安問題の深刻さが左派政権離れの原動力になっていると述べた。 ## この回の要点 - スペインや東京で住宅価格が急騰し、長年の居住者が追い出されるジェントリフィケーション問題が深刻化している。東京の中古マンション平均は2年半で6376万円から1億1274万円へ上昇した - ロシアはNATO諸国に対するドローン侵入・放火・サイバー攻撃などのグレーゾーン攻撃を激化させており、スウェーデンが戦死者埋葬演習を行うほど欧州の緊張は「ほぼ戦争状態」に近づいている - ブラジル大統領選でボルソナロ前大統領の長男が現職ルーラ大統領をリード。南米全体で左派「ピンクタイド」から右派「ブルータイド」への転換が進み、治安悪化と経済停滞が共通の背景にある