# 【国際欄 #20】大人も影響されるフェイク情報・誹謗中傷。子どもとSNSの話をするなら気をつけたいこと(ゲスト:山口真一さん) - Show: News Connect あなたと経済をつなぐ5分間 #ニュースコネクト - Published: 2026-10-20 - Canonical: https://podc.club/episode/1608666340_a02065a0d707.html - Audio: https://anchor.fm/s/81fb5eec/podcast/play/127705623/https%3A%2F%2Fd3ctxlq1ktw2nl.cloudfront.net%2Fstaging%2F2026-9-19%2F879c53cd-2909-c4aa-e3f1-562b18ff8394.mp3 - Source: この記事は、配信音声の冒頭30分ぶんを機械で文字起こしし、それをもとに編集したものです。番組の公式な要約ではありません。 国際大学グローバルコミュニケーションセンター教授の山口真一氏が、青少年のSNS利用規制がもたらす副作用と年齢確認のプライバシーリスクを具体的に指摘。2026年7月以降に方針が転換しつつある日本の制度設計の現状と、大人・子どもがともに取り組むべきSNSとの向き合い方を語った。 ## この回が答えていること ### SNSを一律に禁止・規制することで、どんな副作用が生じるのか? 規制を強めると、子どもが大手より安全対策の整っていない小規模サービスに流れ、親の目が届かない「地下」利用が増えるリスクがある。SNSが果たす表現・情報収集・居場所としての役割も一律に失われてしまう。 ### 年齢確認を厳格化する際に、どのようなリスクが伴うのか? マイナンバーカード等で年齢を確認する場合、サービス側が青少年の機微情報を大量収集・保存することになり、漏えい時のリスクが高まる。加えて年齢を偽られれば対策が無効化するため、厳格化と設計変更の両輪が必要になる。 ### 日本はいま青少年のSNS規制についてどのような方針をとっているのか? 収録時点(2026年10月)で一律規制法は存在しない。当初は規制に慎重な整理だったが、2026年7月末ごろから年齢一律規制も含む議論に転換。年齢確認の厳格化・サービスごとのリスク評価・透明性確保は確実に進む見通し。 ### フェイク情報やディープフェイクへの対策として、どんな規制が議論されているのか? 改正公職選挙法の議論ではAI生成コンテンツへの表示義務(透明性確保)や、選挙関連コンテンツの収益化一時停止などが俎上に。韓国が選挙時にディープフェイクを禁止している点を山口氏は有力な参考事例として挙げた。 ### 保護者は子どものSNS利用にどう向き合えばよいのか? 山口氏の研究では、親子のコミュニケーションが長い家庭ほどネットトラブルが少ない。ルールは親が一方的に押し付けると長続きしないため、子どもと一緒に作ることが重要。大人自身も学び続け、「他者を尊重し自分も尊重する」姿勢を示すことが土台になる。 ## 本文 ## SNS一律規制がもたらす副作用 強制的なSNS禁止にはデメリットが伴う。表現・情報収集・コミュニティとしてのメリットが子どもから奪われる点に加え、「掻い潜ろう」とする動きが必ず生まれる。問題は、子どもが流入する小規模サービスは大手と異なり夜間制限や保護者見守り機能が整っていないケースが多く、見えないところで被害が拡大しかねない点だ。インスタグラムのティーンアカウントは初期設定で見知らぬ人からのDMを遮断する仕組みを持つが、年齢を偽られれば機能しないという根本的な限界もある。 ## 年齢確認とプライバシーのジレンマ 年齢確認の厳格化は必要だが、マイナンバーカードを活用する方式にはリスクがある。サービス側が青少年の機微な個人情報を収集・保存することになり、漏えいした場合の影響が大きい。山口氏は「年齢確認の厳格化」と「子ども向けの適切なサービス設計の要請」の両輪が欠かせないと述べ、無限スクロールの廃止やアルゴリズムの変更など、子どものアカウントに特化した設計改善をプラットフォーム事業者に求めていくことが現実的な方向性だと指摘した。 ## SNS規制が生む市場の歪み オーストラリアの規制強化後、メタ社は大量のアカウントを削除し、インドネシアでも同様の対応が生じた。大手企業にとって対応コストは売上全体からみれば小さいが、中小・新興サービスには致命的な負担になりかねない。国ごとに規制の年齢や方式が異なるため、グローバル展開する企業の対応コストはさらに膨らむ。結果として規制が「大手の参入障壁」として機能し、市場競争を阻害する可能性を山口氏は警告した。 ## 日本の制度設計——転換期の議論 収録時点(2026年10月)で青少年のSNS利用を制限する法律は日本に存在しない。山口氏は総務省・子ども家庭庁の検討会に参加しており、当初は「一律規制は望ましくない」との整理が主流だった。しかし2026年7月末ごろから年齢一律規制を含む方向へ議論が転換。今後ほぼ確実に進む施策として、年齢確認の厳格化、サービスごとのリスク評価と保護措置の要請、対策内容の透明性確保の3点を挙げた。フェイク情報対策では韓国が選挙時にディープフェイクを禁止している事例が参考として浮上しており、AI生成コンテンツへの明示義務も議論されている。 ## 親子で「一緒に学ぶ」ことが最大の防御 山口氏の研究では、親子のコミュニケーション時間が長い家庭ほど子どものネットトラブルが少ないことが示されている。家庭内ルールは「親が一方的に押し付ける」と長続きせず、子どもと話し合って作ることが効果的だ。大人自身もフェイク情報に騙されたり誹謗中傷を書いてしまいうる現状を踏まえ、山口氏が最後に強調したのは「他者を尊重し、自分も尊重する」という基本姿勢。SNSで他者と比較して自己肯定感が傷つきやすい時代だからこそ、子どもに「あなたはいるだけで素晴らしい」と言葉と態度で伝えることが健全なSNS利用の土台になると訴えた。 ## この回の要点 - SNS一律禁止は子どもを安全対策の手薄な小規模サービスに追いやるリスクがあり、規制には副作用を踏まえた慎重な設計が不可欠。 - 日本は2026年7月以降に議論の方向が転換し、年齢確認の厳格化とサービス側への保護措置要請は確実に進む見通し。 - 親子が一緒にSNSを学び、子ども主体で家庭ルールを作ることがネットトラブル減少に最も直結する実践的な対策。