# ビットコインって使えるの? 投資対象じゃないの? #249 - Show: ゆるコンピュータ科学ラジオ - Published: 2026-10-11 - Canonical: https://podc.club/episode/1604353315_b01664e4bd8f.html - Audio: https://api.robotstart.jp/api/for-media/v1/articles/35ac047a/permanent/with-advertise/podcast/ff56c60fb8c77f817857dab84fcbcb2a.mp3 - Source: この記事は、配信音声の冒頭30分ぶんを機械で文字起こしし、それをもとに編集したものです。番組の公式な要約ではありません。 ビットコインを保有する人は多いのに、決済に使う人がほぼいない現状を掘り下げた回。送金手数料の急落とライトニングネットワークの仕組みを解説しながら、ステーブルコインとの比較、そして日本ビットコイン産業株式会社の加藤さんをゲストに迎え、ビットコイン支持が技術論ではなく自由市場への信仰という思想の問題であることまで踏み込んで議論した。 ## この回が答えていること ### なぜビットコインは長年、決済手段として普及しなかったのか? 値動きの激しさと送金手数料の高さが主因。値動きは受取側が翌日に価値が半減するリスクを生み、B2B取引では支払いから入金まで90日かかることもあるため原価割れのリスクがある。手数料は1000円送金に2000円かかった実例が語られた。 ### かつて1000円送金に2000円かかった手数料問題は、どうやって解決されたのか? ブロックに詰め込める取引数の効率改善と、ライトニングネットワークの導入により解決。現在は1万円送っても手数料は10円程度で、銀行の海外送金(3000円前後)より大幅に安い。 ### ライトニングネットワークとはどんな仕組みで、不正はどう防いでいるのか? 2者間だけで合意した内部台帳を使い、複数取引をまとめて最終残高のみをブロックチェーンに登録する仕組み。不正対策として取引合意の通信に「相手の全資金を奪える情報」を含めており、古い状態を提出しようとすると反撃される核抑止力的な構造で不正を防ぐ。 ### ステーブルコインがあればビットコインは不要ではないのか? ゲストの加藤さんは「ステーブルコインは円の世界でどっぷり生きているからそう思う」と反論。円やドルを基準に考える発想自体を問い直し、ビットコインを基準にする世界観を提示した。ビットコイン支持者にとってステーブルコインは代替品にならない。 ### ビットコイン支持者はなぜ値動きの激しさを致命的な欠点と見なさないのか? 「ビットコイン特有の問題ではない」というのが加藤さんの答え。南アフリカランドなど途上国通貨はビットコイン以上に変動する例もある。また法定通貨の安定は中央銀行の多大な努力の産物であり、国には借金をインフレで薄めたいモチベーションがあるため根本的に信用できないという思想的立場からの反論。 ## 本文 ## ビットコインが決済に使われない2つの理由 ビットコインを保有している人は多いが、実際に決済や送金に使ったことがある人はほぼいない。その理由として挙げられるのが①値動きの激しさと②送金手数料の高さだ。 値動きのリスクは受け取る側が大きく、1000円受け取ったつもりが翌日500円になるケースがある。さらに企業間(B2B)取引では支払いから入金まで90日かかることもあり、その間にビットコインの価値が激変すると原価割れになりかねない。 送金手数料については、2018年の暗号通貨ブームのころ、1000円を友人に送ろうとしたら手数料が2000円かかったという実体験が語られた。運営会社に問い合わせようとして「ビットコインに運営会社は存在しない」と気づいたエピソードも紹介された。 ## 手数料問題の解決:効率化とライトニングネットワーク 現在、送金手数料は劇的に下がり、1万円送っても約10円程度になっている。銀行の海外送金(3000円前後)やコンビニATMの手数料より安く、あらゆる送金手段の中で最安クラスだという。 理由の一つは、約4000件の取引をまとめた「ブロック」を連鎖させるブロックチェーンの構造で、1ブロックに詰め込む取引の効率を改善したこと。かつては無駄なスペース(緩衝材)が多かったのが整理されたイメージだ。 もう一つが「ライトニングネットワーク」という新技術だ。ブロックチェーンに毎回記録するのをやめ、2者間だけで合意した内部台帳を使う。複数の取引を積み重ねて最後にまとめてブロックチェーンに最終残高だけを登録する仕組みで、麻雀の半荘ごとに精算せず1日分まとめて精算するイメージに例えられた。 不正対策も巧妙だ。取引合意の通信の中に「相手の全資金を奪える情報」を互いに持ち合う構造になっており、古い状態をブロックチェーンに提出しようとした瞬間に相手が反撃できる。核抑止力と同じ原理で不正を防ぐ。管理者なしでルールが保たれる点が技術的な肝だと解説された。 ## ステーブルコインという選択肢 値動き問題を解決するものとして「ステーブルコイン」がある。ドルや円と固定レートを保つ暗号通貨で、3ヶ月後に1000万円受け取る契約をしても価値が変わらない。手数料も比較的安いため、「ビットコインの時代は終わりステーブルコインが本命」という声も多い。番組MCも当初はそちらの立場だった。 リブラ(Facebookが構想した通貨)を懐かしむ場面もあり、リブラの責任者だった人物が現在はビットコインのライトニングネットワーク決済会社を経営しているという事実も紹介された。 ## ゲスト加藤さんの思想:ビットコイン原理主義 日本ビットコイン産業株式会社の加藤さんが登場。値動きについては「ビットコイン特有の問題ではない」と切り返す。南アフリカランドのように途上国の法定通貨がビットコイン以上に変動する例もあるからだ。 法定通貨の安定性については、歴史的に貨幣は常にインフレし続けてきたと指摘。明治時代は1ドル=1円だったが、戦後の混乱期などを経て大きくインフレした。国は国債の借金をインフレで薄めたいモチベーションがあり、日銀が低金利を維持してきた背景には国債の利払いを抑えたいという事情もあると論じた。低金利が続くと生産性の低い事業にもお金が流れ込み、国全体の効率が落ちるという弊害も語られた。 ビットコインには金融政策がなく価値は自由市場で決まる。それこそが最大の利点だという立場だ。 ## 技術ではなく「思想」の問題 加藤さんの主張に対し、急激な金利変化で街の工場が潰れ失業者が増えるリスクへの懸念も議論された。加藤さんは「残酷だが、金利に見合わなければ別のことをするのが当然」と応じつつ、日本人は工夫が得意だからほっといても上手くやると付け加えた。 最終的に番組として出た結論は、ビットコイン支持は技術への関心よりも「自由市場をどこまで信じるか」という思想・価値観の問題に近いというものだ。理屈の正しさよりも何を信じるかで立場が分かれる領域であり、だからこそ当事者の加藤さんに直接聞く回を設けた、と説明された。 ## この回の要点 - ビットコインの送金手数料は2018年の「1000円送金に2000円」から現在は「1万円送金で10円」レベルに激減しており、海外送金手段として最安クラスになっている - ライトニングネットワークは2者間の内部台帳だけで取引を積み重ね、最終残高のみをブロックチェーンに登録することで効率化。不正しようとすると相手に全資金を奪われる核抑止力的な仕組みで安全性を担保している - ビットコイン支持は技術論ではなく「中央銀行による金融政策を信じるか、自由市場に委ねるべきか」という思想の問題であり、個人の価値観によって結論が分かれる