# 胡椒と唐辛子はなぜ両方ペッパーなのか? - Show: ゆる言語学ラジオ - Published: 2026-10-06 - Canonical: https://podc.club/episode/1550243290_76fa6b3c663b.html - Audio: https://api.robotstart.jp/api/for-media/v1/articles/35d00481/permanent/with-advertise/podcast/df39b1b3ffc4b0b4e331246efacb6ed4.mp3 - Source: この記事は、配信音声の冒頭30分ぶんを機械で文字起こしし、それをもとに編集したものです。番組の公式な要約ではありません。 「ゆる言語学ラジオ」のクイズ企画「うんちくエブリガクイズ」回。胡椒と唐辛子がどちらも英語でペッパーと呼ばれる理由(コロンブスの誤認)、マジック・ザ・ギャザリングのカード翻訳に潜むパングラム×いろは歌の仕掛け、犬のFMRI研究で起きた仰向け・うつ伏せの取り違えなど、5問のクイズを軸に言語・歴史・科学の雑学を展開する。 ## この回が答えていること ### なぜ植物として別物の胡椒と唐辛子が、どちらも英語で「ペッパー」と呼ばれるのか? コロンブスが胡椒の輸送ルート開拓を目的にインドへ向かい、アメリカ大陸に到達した際、現地で見つけた唐辛子を「胡椒と同じ辛みの植物」としてペッパーと呼んで持ち帰ったため。胡椒はアジア原産、唐辛子は中南米原産だが、コロンブスの誤認が名称として定着した。 ### キヤノンのプリンターIP2700はなぜ「捨てプリンター」のような異名で呼ばれたのか? プリンター本体の価格より別売りインクを全色揃えた方が高くなるため、インク切れのたびに本体ごと買い替えた方が安上がりになるから。プリンターインクは液体の単価比較ミームで人間の血液よりも高いとされる。 ### マジック・ザ・ギャザリングのカード文の日本語訳が、翻訳家に「一生に一度やってみたい」と言わせたほどの仕掛けとは何か? 元の英文がアルファベット26文字すべてを含む「パングラム」であり、日本語訳もそれに倣って日本語の仮名をすべて使う「いろは歌(色葉歌)」として訳されている。カードの勝利効果もABC全26文字の使用と連動した設計になっている。 ### 犬の脳をFMRIで調べた2016年の研究で、脳と別の部位の画像を取り違えた原因は何か? 人間がFMRIに仰向けで入るのに対し、犬は座った姿勢(うつ伏せに近い体勢)で装置に入るため、画像の向きが逆になり脳と別の部位の画像が入れ替わってしまったから。 ### 明治時代に犬の名前として「カメ」が一般的だったのはなぜか? 明治時代に来日した外国人が犬に向かって「Come!(カム)」と呼びかけていたのを、日本人が固有名詞として受け取り「カメ」という名前として定着したと考えられているため。 ## 本文 ## コロンブスの誤認が生んだ「ペッパー」 第1問は「ホットペッパーやチリペッパーなど、植物が違うのになぜ同じペッパーと呼ばれるのか」。胡椒はアジア原産、唐辛子は中南米原産の別物だが、コロンブスの航海が両者を結びつけた。 コロンブスは高価な胡椒の輸送ルート開拓を目的の一つとしてインドを目指し、航海の末にアメリカ大陸へ到着した。現地で見つけた唐辛子を「胡椒と同じ辛みのある植物だ」としてペッパーと呼んで持ち帰ったことで、両者が同じ名称を共有するようになった。 この話題から辛味の起源にも触れ、スパイスはもともと肉の防腐目的で使われており、「スパイスのかかった食品は安全」という選択圧が積み重なって人間が辛味を好む味覚を獲得したという説(著書『文化が人を進化させた』より)も紹介された。 ## 捨てプリンターとエプソンの水族館 第2問はキヤノンが2010年に発売した家庭用インクジェットプリンターIP2700の異名に関するクイズ。正解は「プリンター本体より別売りインクを全色揃えた方が高くなる」という特徴。インク切れのたびに本体ごと買い替えた方が安く、実質使い捨てになることに由来する。 プリンターインクは液体の単価比較ミームで「人間の血液よりも高い」とされる。エプソンが品川プリンスホテル内の水族館「アクアパーク品川」を運営していることに触れ、「インクで稼いだ資金が水族館として還元されていると思えば納得できる」というエピソードも語られた。 ## パングラム×いろは歌の奇跡の翻訳 第3問はマジック・ザ・ギャザリングのカード翻訳をめぐる問い。英文「The quick onyx goblin jumps over the lazy dwarf」の日本語訳「歴戦ヘル、素早い黒コウに、生けドワーフたちをひらり、噛み下ろぬえ、胸褒めて、よつゆさそう」の素晴らしさを問うもの。 英文はパングラム(アルファベット26文字すべてを含む文)であり、日本語訳はそれに倣って仮名をすべて使う「いろは歌」として訳されていた。元の英文にない語句も全体の雰囲気を保ちつつ追加されており、カード名「Now I Know My ABCs」の効果も「コントロールするパーマネントのカード名にアルファベット26文字すべてが含まれている場合に勝利」という形で翻訳の仕掛けと一貫している。 ## 犬のFMRIで起きた仰向け・うつ伏せの混同 第4問は2016年の犬の脳のFMRI研究。「論理的な単語は左脳、感情的なイントネーションは右脳で処理」という結果が後に取り違えと判明した原因は体勢の違いだった。人間が仰向けでFMRIに入るのに対し、犬は座った姿勢、つまりうつ伏せに近い体勢で装置に入るため、画像の前後方向が逆になり脳と別の部位の画像が入れ替わっていた。 ## 明治の「カメ」と地名が揺れる話 第5問は明治時代の犬の名前「カメ」の由来。ポチや黒と並んで一般的だった理由は、来日した外国人が犬に「Come!(カム)」と呼びかけていたのを日本人が固有名詞として受け取り定着したためだという。 この流れで地名の表記・読み方の揺れについても展開した。愛知県の「鶴舞」は駅名が「つるまい」、公園名が「つるま」と同一地名で読み方が割れている。「秋葉原」は元来「あきはばら」だったものが音位転換(隣接する音が入れ替わる言語現象)と駅名の定着によって「あきはばら」が広まったとされる。NHKのアクセント辞典が東京式のほか地元のアクセントも載せている点も「素敵な配慮」として取り上げられた。 ## この回の要点 - 胡椒と唐辛子が同じ「ペッパー」と呼ばれるのは、コロンブスがアメリカ大陸をインドと誤認し唐辛子を胡椒として持ち帰ったことに由来する歴史的産物。 - マジック・ザ・ギャザリングのカード翻訳はパングラムに対応して「いろは歌」で訳された言語的傑作であり、カードの勝利効果自体もABC全使用と連動した設計になっている。 - 犬がFMRIでうつ伏せになることで画像が逆転するなど、人間前提の実験設計が動物研究の盲点になる事例として2016年の研究が紹介された。