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歴史を面白く学ぶコテンラジオ (COTEN RADIO) · 歴史

【番外編#148】効率重視か?ロマンか?こだわりの仕事道具に宿るスピリット

2026-10-26 · 24分 · 4分で読める

ローマ史収録の途中に深井が席を外した隙、樋口ともう一人のメンバーが「仕事道具へのこだわり」を語り合った番外編。分割キーボードの人間工学的メリット、Apple純正デバイスを「3年後も売っている」ゆえに選ぶ合理的こだわり、フェンダー・テレソニック1本で20年近く音楽と向き合う姿勢へと話が展開し、道具選びに宿る生き方の哲学が浮き彫りになる。

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この回が答えていること

  • 分割キーボードを使う理由と、その具体的なメリットは何か?

    分割キーボードは左右を独立して動かせるため、手のひらを自然な45〜60度に保ちながら打鍵できる。一体型では両腕が内側に絞られ肩が前に出る不自然な姿勢になるが、分割型ならその日の体調に合わせて姿勢を自由に変えられる。

  • 樋口がApple純正デバイスにこだわり続ける本当の理由は何か?

    「3年後・5年後も販売されている確率が高いから」が第一の理由。流行り廃りで消えるサードパーティー製と違い、Apple純正は廃盤になりにくい。機能性よりも継続性を重視するこの基準は服(ユニクロ)選びにも同様に適用されている。

  • 樋口はなぜギターをフェンダー・テレソニック1本だけ使い続けているのか?

    テレソニックはテレキャスターほどジャキジャキでもなく、レスポールほどパワフルでもないが幅広い音が出せる汎用性を持つ。「この1本でどこまで表現できるか」への挑戦意識と、環境を最低限に絞り人間の技術で対応するという哲学が一致している。

  • 「日本的な道具の使い方」と「アメリカ的な道具の使い方」はどう違うのか?

    アメリカ的効率は用途ごとに最適な専用環境を整備し人間がそこに合わせる発想。日本的効率は和室のように一つの空間・道具を人間の工夫で多用途に使う発想。樋口は後者を選び、ハードは最小限・ソフトと人間の慣れで可能性を広げるアプローチを採っている。

  • 3Dプリンター導入後、道具への向き合い方はどう変わったか?

    何でも作れる時代になったからこそ「測るしかできないメジャー」「ひねって固定するだけのネジ」など単機能ツールへの愛おしさが増した。一芸に生涯を捧げる伝統工芸職人へのリスペクトと同じ感覚として言語化されている。

深井不在の隙に始まった「道具談義」

ローマ史シリーズの収録中、深井が席を外した。「時間をもったいなくしないよう二人で喋ろう」と樋口が切り出したテーマが「仕事道具のこだわり」だった。パソコン周辺機器から調理器具・文房具まで、道具へのこだわりにはその人の生き方や哲学が出る——という問題提起から会話は始まる。

分割キーボードという選択——体に沿った人間工学

メンバーの一人(番組内で「ヤンヤン」と呼ばれる)が愛用しているのが分割キーボードだ。ノートパソコンを目線の高さに置き、手元に分割型キーボードをBluetoothで接続するスタイルで使っている。

通常の一体型キーボードでは両手を置くと脇が締まり、肩が前に出て内側に入る。この姿勢は人間工学的に不自然で、長時間作業の疲れにもつながる。分割型なら左右を独立して動かせるため、テーブルに手を自然に置いたときの角度(約45〜60度)を保ったまま打鍵できる。さらに「今日は左腕を伸ばしたい気分」といった体調に合わせた微調整も可能で、「自分という体とパソコンをつなぐフレキシブルなインターフェース」と表現された。

製品名としてはCORNIX(C-O-R-N-I-X)と、YouTuberのモノグラフ・堀口さんが製作したコンダクター(Conductor)が挙がった。けんすうさんも強く推しているという。また、キーボードに組み込まれたトラックボールや音声入力との組み合わせで「キーボードを極力触らずに仕事する」スタイルへの関心も語られた。

樋口の純正原理主義——「3年後も売っているか」が最優先基準

対して樋口が使うのはApple純正のキーボード(有線)とマジックマウス。有線を選ぶ理由はシンプルで、「どうせAnkerのUSBハブを挿すから、無線である意味がない。充電も電池も不要」とのこと。

しかし純正にこだわる最大の理由は機能性でも使いやすさでもない。**「廃盤になりにくいから」**だ。流行り廃りで消えていくサードパーティー製品と違い、Apple純正は3〜5年後も同じものが入手できる確率が高い。この基準は服選びにも一貫して適用されており、ユニクロのストレッチジーンズにヒートテック+Tシャツという組み合わせを固定しているのも同じ哲学による。

樋口はまた「人間の慣れ」を強く信じている。新しいデバイスに乗り換えた直後に「使いづらい」と感じるのは、製品が悪いのでなく慣れていないだけ。そのため「慣れの期間」を余計に発生させないよう純正を使い続けるのは合理的な選択でもある。3DCGソフトを複数使いながらショートカットキーを各ソフトの純正設定のまま使うのも同じ理由で、「開発者が死ぬほど考えた最適解を、まず一旦受け入れてから自分流にすればいい」というのが基本姿勢だ。

トラックボール(ロジクールのM575やERGOなど)も試した結果、「マジックマウスの凄さを一周して再確認した」とも語った。物理ホイールのないマジックマウスは指で弾いたスクロールが慣性で続く仕様で、改めてその完成度を評価している。

ギター1本主義と「最小ハード×最大人間」の哲学

音楽制作を10年、バンド時代を含めると20年近く音楽に関わってきた樋口が、メインギターとして使い続けているのはフェンダーのテレソニック1本。学生時代に購入し、ずっと手放していない。

テレソニックはテレキャスターほどジャキジャキしたキレのある音は出ず、レスポールやポール・リード・スミスほどのパワフルな音も出ない。しかしその中間として幅広い音域をカバーできる汎用性がある。「刀一本」の感覚でこの1本がどこまで表現できるかを探り続けることに、挑戦の意味を見出している。

ここで語られたのが「日本的効率」対「アメリカ的効率」の対比だ。アメリカの住居はキッチン・寝室それぞれに最適な専用空間があり人間がそこに合わせる。日本の和室は障子で仕切るだけで応接・遊び場・寝室と多用途に使う——環境を最低限に保ち、人間の工夫と技術で対応する発想だ。樋口は後者を明確に選んでいる。「ハードウェアは最低限・最適にして、ソフトウェアと人間の力でどこまでできるかへの挑戦」という言葉にその哲学が凝縮されている。箸一本で「つまむ・切る・すくう」を賄うことや、中華鍋一つでスープも炒め物も作ることへの言及もあり、この哲学が道具全般に貫かれていることが分かる。

3Dプリンター導入後に芽生えた「単機能の美」へのロマン

一方、3Dプリンターを導入してから道具への見方が変わってきたと話す。何でも自由に作れる時代になったからこそ、「測るしかできないメジャー」や「ひねって固定するだけのネジ」といった単機能ツールへの愛おしさが逆説的に増してきた。

ネジ一つとっても皿ネジ・丸ネジ・プラスネジ・マイナスネジ・六角ネジとあり、それぞれの局面で使い分けがある。歯車も、特定の機能のためだけに最適な素材と形で存在している。伝統工芸の曲げ物職人や能面師が一つの技に生涯を捧げることへのリスペクトと、この「単機能の美」への感動は同じ感覚だと話は広がった。

「社会の歯車になんてなりたくない、という歌詞をよく聞くけど、歯車を舐めるな。歯車すごいぞ。社会の歯車になりたい」——この一言に、道具と役割に対する美学がよく表れていた。工具箱の中に用途別の道具が整然と並ぶイメージにロマンを感じるようになったのも、3Dプリンターという「何でも作れる道具」との出会いがあってこそだという。

この回の要点

  • 「3年後も売っているか」を基準にデバイスや服を選ぶ純正原理主義は、継続性と人間の慣れへの信頼を最優先する一貫した哲学から来ている。
  • ハードウェアを最低限に絞り人間の技術と慣れで対応する「日本的効率」の思想が、ギター1本主義・Apple純正固定・ショートカット変更拒否に一貫して流れている。
  • 3Dプリンターで何でも作れる時代だからこそ、単機能ツールや一芸職人への「ロマン」が逆説的に増している。

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この記事は、配信音声の冒頭30分ぶんを機械で文字起こしし、それをもとに編集したものです。番組の公式な要約ではありません。正確な内容は本編をお聴きください。