The Global Story: They were loyal Democrats. Then came Gaza
2026年の米中間選挙まで約2週間、ミシガン州でガザ紛争への米国の対応が民主党支持者の政党離れを引き起こしている。全米最多比率のアラブ系アメリカ人が暮らす同州では、長年の民主党支持者がトランプへ投票したり公然と党を批判したりする事態が起きており、接戦州の選挙基盤を揺さぶっている。BBCのアスマ・カリードが現地の有権者を直接取材し、その声を届けた。
この回が答えていること
ガザ問題がなぜ今回の米中間選挙で異例の争点となっているのか?
通常は経済・生活費が争点の中間選挙だが、イスラエルへの軍事支援継続という外交政策が一部有権者の「踏み絵」となっており、全米最多のアラブ系人口を抱えるミシガン州で特に顕著だ。
ミシガン州上院議員選挙の主な候補者と、それぞれのイスラエル政策への立場は?
民主党のアブドゥル・エル-サイードはアラブ系ムスリムでガザを「虐殺」と批判し軍事支援に反対。共和党のマイク・ロジャースは元下院議員でトランプ支持、イスラエル支援を米国家安全保障の問題と位置づける。
「アンコミッテッド運動」とは何か、何を目的として生まれ、どのような結果をもたらしたか?
バイデン政権のガザ対応に抗議するため2024年民主党予備選で「支持候補なし」票を投じる運動。ミシガン州だけで10万票超を集めたが、党指導部は方針を変えず、シカゴの党大会でもパレスチナ系の演壇発言を拒否した。
アラブ系アメリカ人の有権者たちは民主党への失望からどのような行動を取ったか?
サムラ・ルクマンはトランプへ投票しモスクを回って支持を呼びかけた。アムル・ザーハルは2020年のバイデンを「砂漠のハムサンド」と表現したが今回は別の選択をした。棄権や第三政党への投票を選んだ有権者もいた。
今回の政治的亀裂は民主党にとってどのようなリスクをもたらすか?
接戦州ミシガンで、かつて民主党の票田だったアラブ系アメリカ人がトランプや第三候補へ流れており、民主党の選挙基盤が侵食されるリスクが現実のものとなっている。
ミシガン州を揺るがすガザの火種
2026年の米中間選挙まで約2週間となったミシガン州で、イスラエル・ガザ問題が異例の政治争点となっている。通常、中間選挙は経済や生活費などの国内問題が中心だが、今回はアメリカのイスラエルへの軍事支援継続が一部有権者の投票判断を左右する「踏み絵」として浮上している。ミシガン州は全米最多比率のアラブ系アメリカ人が暮らす州であり、同時に親イスラエル派の民主党支持ユダヤ系住民も多く、この対立が特に鮮明に表れている。BBCのアスマ・カリードはこの問題を「世界とアメリカが交差する場所」として報告した。
真っ向対立する上院議員候補
同州の連邦上院議員選挙には対照的な2人が立候補している。民主党のアブドゥル・エル-サイードはアラブ系ムスリムで公衆衛生の専門家。当選すれば米国史上初のムスリム上院議員となる。彼はガザでの出来事を繰り返し「虐殺(ジェノサイド)」と表現し、イスラエルへの軍事支援に強く反対している(イスラエルはこの主張を否定しており、国連の国際司法裁判所でも審理中で結論は出ていない)。共和党のマイク・ロジャースは元下院議員でトランプ前大統領の支持を受け、「イスラエル支援は米国の国家安全保障に直結する」として軍事援助の継続を主張する。討論会では司会者から「攻撃された場合、イスラエルに防衛用兵器を提供するか」と問われたエル-サイードが「自国の税金を他国の武器購入に使いたくない」と答え、ロジャースが「ミサイル迎撃システム(アイアンドーム)さえ支持しないのか」と畳み掛ける激しい場面があった。
「アンコミッテッド運動」の誕生と挫折
この対立の起点は2024年の大統領選挙にさかのぼる。バイデン政権のガザ対応に失望した有権者たちは、アッバス・アル-アウィア主導の「アンコミッテッド運動」を立ち上げた。民主党予備選の投票用紙にある「支持候補なし(アンコミッテッド)」欄を選ぶことで党への不満を示す戦略で、ミシガン州だけで10万票以上を集めた。しかし党指導部はこれを無視した。8月のシカゴでの民主党大会(この時点ではカマラ・ハリスが候補に切り替わっていた)でも、パレスチナ系アメリカ人の演壇発言を何カ月も求め続けたが拒否された。アッバスは「自分たちの党による意図的な沈黙と排除だ」として会場外で抗議の夜を過ごした。なお彼自身は最終的に、トランプよりましだとしてハリスへの支持を表明したが、それが原因でアラブ系コミュニティ内から激しい批判を受けた。
党を離れた有権者たちの声
取材の中で最も象徴的だったのはサムラ・ルクマンの証言だ。「裏切られたと感じた。生涯、民主党員として生きてきたのに」と語る彼女は、前回の大統領選でトランプに投票し、モスクを回って支持を呼びかけるほど積極的に動いた。「トランプが中東に平和をもたらすとは思っていなかった。でもハリスは100%方針を変えないと言っていた。1%でも可能性があるほうに賭けた」と振り返る。トランプ就任後に数回の停戦が実現したことは一定評価しつつも、期待は限定的だと付け加えた。一方、アムル・ザーハルは2020年のバイデンへの投票を「砂漠で食べ物がなく、ハムサンドしかない状況で食べるようなもの」と表現した(ムスリムは豚肉食を禁じられているが、生死に関わる場合は例外が認められるという宗教規定からの比喩)。2020年は「それでも食べた」が、2026年の今回はその選択さえしなかった、と示唆している。
この回の要点
- ガザ問題は2026年米中間選挙でも異例の争点となり、ミシガン州で民主党アラブ系支持者の政党離れが続いている
- 「アンコミッテッド運動」は10万票超を集めたが民主党指導部は無視し、党大会でのパレスチナ系演壇発言も拒否された
- サムラ・ルクマンのように「1%の可能性に賭けた」としてトランプへ投票・選挙運動した元民主党員もいる
この記事は、配信音声の冒頭30分ぶんを機械で文字起こしし、それをもとに編集したものです。番組の公式な要約ではありません。正確な内容は本編をお聴きください。