# Round Up World Now!(2026.10.9放送分) - Show: 伊藤洋一のRound Up World Now! - Published: 2026-10-09 - Canonical: https://podc.club/episode/120034448_8809648e9f4f.html - Audio: https://podcasting.radionikkei.jp/podcasting/roundup/roundup-261009.mp3 - Source: この記事は、配信音声の冒頭30分ぶんを機械で文字起こしし、それをもとに編集したものです。番組の公式な要約ではありません。 米国の10年債利回りが24年ぶりの高水準(5.33%)に達する中でS&P500とNASDAQが最高値を更新するという矛盾した状況を伊藤洋一が解説。レイ・ダリオの「2年以内に債務危機」警告、世界で延べ3億人超の個人情報漏洩急増へのホワイトハッカー活用論、習近平国家主席が高市総理との会談を拒み続ける日中関係の現状、TOPIXの大幅銘柄削減を機に株価指数そのものの限界を論じる回。 ## この回が答えていること ### 株高と金利高が同時進行する現在の米国市場はなぜ生まれ、どこへ向かうのか? AI産業の成長期待がNASDAQ・S&Pを押し上げる一方、その膨大な資金需要が金利を上昇させるという構造的矛盾が生じている。小型株のラッセルは高値から約8%下落しており、伊藤氏は「株高と金利高は長く共存できない」とし、中間選挙後のトランプ政権末期を特に危険な時期とみる。 ### 個人情報漏洩が急増するサイバー攻撃に企業・個人はどう対処すべきか? 企業はホワイトハッカーを雇い自社システムを事前に攻撃させ弱点を洗い出すべきだと伊藤氏は提言。企業側は必要以上の個人情報を集めないことも重要で、写真はAIで偽造できるため本人確認として機能しなくなっていると指摘する。個人はメールのリンクを絶対クリックしないことが基本的な防御策。 ### 習近平氏が高市総理との首脳会談を拒否し続ける中、日中関係はどう動くか? 習近平氏はトランプ大統領の仲介にも応じず「日本の軍国主義が高まる」と拒否。代替として李強首相との会談を提案したが日本側は拒否している。伊藤氏はAPECで首脳会談が実現しなくても問題ないとし、経済レベルの往来は続いていると指摘した。 ### TOPIXの構成銘柄が1636社から986社に大幅削減されることをどう評価するか? 成長企業への資金集中という狙いは理解できるが、伊藤氏は指数そのものの問題を指摘。日経平均が7万円を超えてもトヨタ株は3000円前後から動いておらず、指数と個別銘柄の乖離が深刻で、複数・多様な指数が必要だと述べた。 ### レイ・ダリオの債務危機警告には根拠があるか? 伊藤氏は「根拠がなきにしもあらず」と評価。長期債利回りが急激に動く局面は過去にも市場不安定化の前触れだったとし、フランスなど各国の財政悪化も加わる今の状況はダリオ氏の見立てと整合すると述べた。 ## 本文 ## 今週のマーケット:株高と金利高の奇妙な共存 今週、S&P500とNASDAQは市場最高値を更新した。一方で米国の30年債利回りは5.7%、10年債は5.33%と24年ぶりの高水準に達している。「株高と金利高は本来共存しえない」というのが伊藤氏の基本認識だ。金利上昇は債券の相対的魅力を高め、7%台に迫る住宅ローン金利は企業業績を圧迫するからだ。 にもかかわらず株が上がるのはAI産業への期待からだ。旅行手配から買い物まで代替するAIエージェント機能が普及すれば産業領域は爆発的に広がる。ただしAI企業は巨額設備投資を積み上げながらも収益が追いついておらず、OpenAIの9月決算も予想を下回った。この資金需要が金利を押し上げるという皮肉な構造がある。 見落とせないのは小型株指数のラッセルが高値から約8%下落していることだ。小型株は長期金利の影響を直接受けやすく、NASDAQやS&Pの「株高」がAI関連大型株だけの現象であることを示している。著名投資家レイ・ダリオ氏は「金利上昇が市場と経済を圧迫し、2年以内に債務危機が来る」と警告した。伊藤氏はこれを「根拠がなきにしもあらず」と受け止め、トランプ政権の中間選挙後を特に危険な時期と捉えている。「株は100から70〜80になることはあっても50を割ることは少ない。余裕を持って投資する時期が近づいているかもしれない」とも述べた。 ## 個人情報漏洩急増:ホワイトハッカーを雇え 先月から約1カ月で世界で少なくとも延べ3億人超の個人情報漏洩が公表され、日本でも延べ5700万人分の流出が明らかになった。AIの関与が疑われており、金融庁は金融機関に対し口座開設時の本人確認を運転免許証の撮影から、マイナンバーカードのICチップ読み取りへ移行するよう求めた。 伊藤氏が提言するのはホワイトハッカーの積極活用だ。自社システムを攻撃者と同等の技術を持つホワイトハッカーに事前に攻撃させれば弱点が判明する。「ぼーっとしていたら全部やられる」という危機感を持ち、脆弱性を最小化することが不可欠だと強調した。また企業は必要以上の個人情報を集めないことが重要で、写真はAIで容易に偽造できるため本人確認として機能しなくなっていると指摘した。 個人レベルではフィッシングメールへの注意を訴えた。伊藤氏自身もAppleを装い「サブスクの払いすぎを返金する」と称するメールを受け取り、送信元アドレスを確認したところ不審なアドレスだったという。「リンクが貼ってあったら絶対クリックしない」が最大の防御策だと述べた。 ## 日中関係:習近平の拒否とAPECの行方 トランプ大統領は先月の米中首脳会談で習近平国家主席に対し高市総理との対話を促したと、香港紙サウスチャイナモーニングポストが報じた。習近平氏は「日本の軍国主義が高まるリスク」を警告しながら拒否し、日米の問題を米中関係と切り離すべきとも主張したという。日本側は11月のAPECでの首脳会談を打診しており、代案として李強首相との会談も提示されたが、日本はこれも拒否しているとされる。 伊藤氏は「習近平氏個人が高市総理に強い敵意を持っているのは明確だが、経済・貿易レベルの往来は継続している」と指摘。APECでの首脳会談が実現しなくても問題はないとの見方を示した。 ## 株価指数の限界:TOPIXの大改革が問うもの 日本取引所グループは今月末、TOPIXの構成銘柄を現在の1636社から986社(約4割減)に絞ると発表した。時価総額や売買高を重視し、成長企業にマネーが集まりやすくする狙いだ。 伊藤氏はより根本的な問題を指摘する。日経平均が7万円を超えたにもかかわらず、トヨタ株は3000円前後からほとんど上がっていない。かつては日経平均が上がればトヨタも三菱商事も連動したが、今は指数と個別銘柄が大きく乖離している。経済の分化とAI企業の台頭で、指数が拾いきれない銘柄が増えているためだ。 米国でもダウは30銘柄しかなく、投資信託の基準として広く使われるS&P500の方が重要なのに、日本のメディアはダウとNASDAQしか報じないと批判。「何を指標として見るかという視点そのものを変えなければいけない時期に来ている」と述べた。 ## この回の要点 - 米国10年債が24年ぶりの5.33%高水準に達し、AI株高との共存は限界に近い。レイ・ダリオの2年以内の債務危機警告を伊藤氏は「根拠がある」と評価する。 - 世界で延べ3億人超の個人情報漏洩が急増。企業はホワイトハッカーによる事前テストと個人情報最小化で対抗し、個人はメールのリンクを絶対クリックしないことが基本防御策。 - TOPIXが1636社から986社へ大幅削減されたが、指数と個別銘柄の乖離はすでに深刻で、株価指数の見方と選び方そのものの見直しが必要な時代に入っている。